2015 Fiscal Year Annual Research Report
カイケ語の記述調査、及びチベット語との言語接触を中心とする歴史言語学的研究
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24520486
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Research Institution | Nagoya College |
Principal Investigator |
本田 伊早夫 名古屋短期大学, 英語コミュニケーション学科, 教授 (10269681)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歴史言語学 / チベット=ビルマ諸語 / カイケ語 / チベット語 / 言語系統 / 言語接触 / タマン諸語 / ヒマラヤ諸語 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は、8月21日ー23日に米国サンタ・バーバラにて開催された国際学会「The 48th International Conference of Sino-Tibetan Languages and Linguistics (ICSTLL48)」に出席し、研究発表 "The possessive/nominalizer -la(ng) in Tamangic (Nepal): Its link to genitives, complementizers, and finite verb suffixes" を行った(本発表は主にタマン諸語のついてのものであるが、タマン諸語と系統的に近い関係にあると考えられるカイケ語やチベット語に関する本研究での調査や先行研究の分析によって得られた知見に基づくものである)。また、8月ー9月にかけての2週間弱、ネパールにおいてチベット語ティチュロン方言の聞き取り調査を調査協力者の協力を得て実施し、得られたデータの分析を現地滞在中及び帰国後に進めた。調査内容と研究成果は以下の通り;1)言語共同体の文化や伝承物語などのテキスト収集を行いながら、語彙の更なる収集と、語彙と文法に関する包括的記述・分析を更に進めた。これにより、これまで知られていなかった(記述されていなかった)チベット語ティチュロン方言を使用する村々の文化・社会的行事・習慣を知り、記述することができた;2)語彙を収集する中で各語彙の音韻と音調を確認し、音韻と音調に関するデータを増やすことに努めながら、特に音調に関する包括的記述・分析を更に進めた。これにより、チベット南部・ネパール国境近辺に分布する他の現代チベット語方言とほとんど共通する音韻、音調パターンであることを確認した一方、わずかであるが、かなり特有の音韻、音調パターンも確認することができた。
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