2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520489
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
森 若葉 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 共同研究員 (80419457)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 楔形文字 / 粘土板 / シュメール語 / エラム語 / アッカド語 / イラン国立博物館 / メソポタミア |
Outline of Annual Research Achievements |
テヘランにあるイラン国立博物館が所蔵する未公刊のイラン出土楔形文字資料について、同国立博物館の許可のもと、現地において、資料の解読およびその文献学的調査・研究を行った。この資料は、紀元前3000年紀末から紀元前2000年ごろにかけてのもので、シュメール語、アッカド語、エラム語の資料が含まれる。テヘランでは、写真撮影をおこなうほか、連携研究者の指導のもと、研究協力者に3D データ化のためのスキャニングを行ってもらった。 成果の一部は、2014年12 月に京都大学文学部で開かれた古代イランにかんする国際シンポジウムで発表を行った。本研究に関連して、イラン国立博物館の碑文部門長である研究協力者のセディゲ・ピラン氏を招聘した。彼女には対象資料にみられる印影について発表をおこなってもらった。調査した資料のうち、エラム語行政経済文書資料については共同研究者とともに現在公刊準備中である。アッカド語資料、レンガ碑文資料については、共同研究者が中心となり発表の予定である。また、3D モデルデータはイラン国立博物館に提出しており、そのデータのより効果的な活用法についてはひきつづき検討中である。 国際シンポジウムの口頭発表については、その内容を発展させて、イラン国立博物館所蔵文書の2点のシュメール語文献について2016年3月に公刊を行った。 紀元前2000年紀初頭にアンシャン(イラン・ファルス州)で作成されたシュメール語の行政記録は、まだ内容に不明な部分が残るが、エラム語地域であるファルス州で作成されたシュメール語の貴重な資料である。また、ファルス州出土のシュメール語王碑文断片は、紀元前3000年紀末・シュメールのウル第三王朝の初代ウルナンマ王の碑文であることがわかった。これはこの地域で発見されたはじめてのシュメール・ウル第三王朝期王碑文資料であり、歴史的に重要な言語資料である。
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