2012 Fiscal Year Research-status Report
地形論的統語論と自立分節韻律音韻論にもとづく日本語イントネーションの史的研究
Project/Area Number |
24520499
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
前田 広幸 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40219275)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イントネーション / 自立分節韻律音韻論 / 地形論的統語論 |
Research Abstract |
本研究は、近年の統語理論および音声音韻研究の成果をよくふまえた上で、平家正節に代表される、平曲の語りに関する譜記を有する平家物語諸本を基幹資料としてその前後の時期の文献資料と対照することにより、日本語イントネーションの史的研究を行うことを主な目的としている。その際特に、各要素がTopic やFocus といった情報構造上担う役割の違いに応じ、i) いかに異なる統語論的位置を占め、ii) 音韻論的な句のまとまり形成に関し、いかに異なる振る舞いを示していたと考えられるかという点を中心にした分析を行う点に本研究の特色がある。研究初年度にあたる平成24年度には、その分析の基礎となるデータベースの作成に力を注ぐとともに、関連分野における最新の研究動向を把握する活動をおこなった。具体的には前者については、青洲文庫本および尾崎家本『平家正節』を基礎資料に作成した、平家正節譜記データベースをもとに、テキスト中で出現した要素のうち、係助詞、疑問詞、一部接尾辞を含む文節相当単位について、いかなる種類のTopic、Focus要素にあたるものかと解釈できるものか追加アノテーションを行う作業を、『平家正節』前半部章段に対しおこなった。また後者については、国内の学会では日本語学会の研究発表大会に参加するとともに、海外学会ではETP(Expetise in Tranlation and Post-editing Research and Application)ワークショップ(於・コペンハーゲンビジネススクール翻訳研究センター)および英語歴史言語学国際会議(於・チューリヒ大学英語学科)に参加し、情報収集をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って研究を推進してきており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画2年度目にあたる2013年度には、基礎となるデータベースについて、後半部の追加アノテーション付け作業を進めるとともに、作成されたデータベースをもとに、情報構造上各種Topic、Focus要素が占める統語論的位置と、音調実現のあり方とのかかわりについて、実質的なコーパス音韻論的分析をおこなう。また研究最終年度の2014年度には、研究成果について発表する活動を中心に研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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