2013 Fiscal Year Research-status Report
地形論的統語論と自立分節韻律音韻論にもとづく日本語イントネーションの史的研究
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24520499
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
前田 広幸 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40219275)
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Keywords | イントネーション / 自立分節韻律音韻論 / 地形論的統語論 |
Research Abstract |
本研究は、近年の統語理論および音声音韻研究の成果をよくふまえた上で、平家正節に代表される、平曲の語りに関する譜記を有する平家物語諸本を基幹資料としてその前後の時期の文献資料と対照することにより、日本語イントネーションの史的研究を行うことを主な目的としている。その際特に、各要素がTopic やFocus といった情報構造上担う役割の違いに応じ、i) いかに異なる統語論的位置を占め、ii) 音韻論的な句のまとまり形成に関し、いかに異なる振る舞いを示していたと考えられるかという点を中心にした分析を行う点に本研究の特色がある。研究2年度目にあたる平成25年度には、その分析の基礎となるデータベースの作成作業を引き続きおこなうとともに、文献調査を中心に、関連分野における研究動向を把握する活動をおこなった。具体的には前者については、青洲文庫本および尾崎家本『平家正節』を基礎資料に作成した、平家正節譜記データベースをもとに、テキスト中で出現した要素のうち、係助詞、疑問詞、一部接尾辞を含む文節相当単位について、いかなる種類のTopic、Focus要素にあたると解釈できるものか、追加アノテーション付けをおこなう作業を、平成24年度に『平家正節』前半部章段に対し実施していたが、そのうち、係助詞ハの付与された一部の単位について、認定基準の変更をおこなうのが妥当であると今年度考えるようになったため、平成24年度既入力データについて、まず修正をおこなった。その後、新たな基準に基づき、中盤部章段に対しても、追加アノテーション付け作業を実施した。また後者については、日本語史にかかわるものを中心に、ここ10年内に発表されたコーパス言語学的手法による研究の成果について、集中的に文献調査をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画2年度目にあたる平成25年度には、分析の基礎となるデータベースについて、作成を終える予定であったが、Topic、Focus要素の認定基準について見直しをおこなったため、既作成分についても再度アノテーションの修正作業が必要になり、作業に遅れが生じ、データベースを完成させることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画最終年度にあたる平成26年度には、前年度に生じた作業の遅れを取り戻すべく、分析の基礎となるデータベースをできるだけ早く完成させ、それにもとづき、情報構造上各種Topic、Focus要素が占める統語論的位置と、音調実現のあり方とのかかわりについて、実質的なコーパス音韻論的分析を加え、その成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画2年度目にあたる平成25年度には、分析の基礎となるデータベース中のアノテーション付けに関し、Topic、Focus要素の認定基準に修正を加える必要を認めるようになったため、初年度既入力分データにも修正を加える必要が生じ、データベース作成作業に遅れが生じた。またそれにともない、当該データベース分析を基礎とする研究成果発表にも若干の遅れが生じた。そのため当該年度は、海外での研究成果発表はおこなわず、文献調査とコーパス言語学的分析のための物品費支出を中心を研究費の執行(約75%分)を行い、残りについては、研究計画最終年度にあたる平成26年度に執行することにしたため。 平成25年度に遅れが出た、分析の基礎となるデータベース完成に向け、平成26年度の前半は精力と予算執行を集中させる。と同時に、後半での研究成果発表へ向け、分析作業をすすめ、また文献調査も並行しておこない、予算を執行する。平成26年度末には、研究成果の発表をおこない、そのための予算執行を実施する。
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Research Products
(2 results)