2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520506
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
木川 行央 神田外語大学, その他の研究科, 教授 (50327186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 マリ子 國學院大學, 文学部, 教授 (90170018)
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Keywords | 首都圏方言 / 東京式アクセント / ラ行音の撥音化 / 母音の無声化 / 共通語化 |
Research Abstract |
本研究の目的は現代共通語の基礎となっている首都圏方言の基層の拡充を探求することにある。首都圏の方言の中には、東京語では消えてしまった言語現象が、未だ多く残存している。たとえば、音声事項ではアクセントや連濁現象、ラ行音の撥音化・直音化・広母音の無声化など、文法事項では意志・勧誘および推量方言に用いられるベーなど、さらに語彙についても、かつては江戸・東京で用いられていた語が用いられているなど、多くの現象が認められる。しかし、首都圏においても東京語化は確実に進行しており、これらの言語事項も消滅しつつある。これらの事象を記録し、分析することは、急速な変化を起こしている現在でこそ可能な課題である。さらに、現在起こっている変化の過程を記録しておくことによって、言語変化の研究そのものに、言語環境・言語事象を軸とした提言を行うことが可能となろう。 本年度は、小田原市において多人数調査を行った。この調査は2011年に同じく小田原市において実施した調査を発展させたもので、現在、データの整理と分析を行っているところである。とりわけ小田原市内の年層差に着目して調査を実施し、伝統的首都圏方言の古相と小田原方言の特色を明らかにしようと調査項目を選定した。 このほかに、昨年度録音した東京語話者の談話を文字化し、その分析を行っている。 これらの調査の参考とするために、戦前に出版されたアクセント辞典のデータ化をすすめている。 また都内の大学生を対象とした調査を行い、その分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
首都圏方言の実態を小田原市における多人数調査で見ることができた。また東京語話者の談話の文字化資料化、首都圏の大学に通う大学生の言葉の実態に関する調査などを行うことができた。 さらに、分析のもととなるデータの蓄積を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、引き続き基礎となるデータの収集を行うと同時に、これまでに得たデータの分析を進め、その成果を論文・学会発表などの形で公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は、当初の予定のような使用を行った。しかし初年度、調査ができなかったことなどにより、使用が予定よりも少なく、当該年度での使用額が生じた。当該年度でもその残金すべてを使用しなかったため、次年度使用額が生じた。 今年度も調査を実施する予定であり、その旅費及び調査に参加する学生などの交通費に使用する予定である。また、基礎となる資料も購入する必要がある。さらに、資料のデータ化などにかかる費用としても使用する予定である。
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