2014 Fiscal Year Annual Research Report
程度修飾とアスペクト現象についてのスケール意味論的研究
Project/Area Number |
24520507
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
北原 博雄 聖徳大学, 文学部, 准教授 (00337776)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 程度修飾 / アスペクト / (非)限界性 / (非)段階性 / 状態 / 量 |
Outline of Annual Research Achievements |
程度修飾は状態程度修飾と量修飾に二分される。本年度は、量修飾の本質を考えるにあたり、次に挙げる(1)の文の中の「3冊」のように、先行詞をとり、かつ、副詞が現れうる位置にある数量詞(以下、連用数量詞と言う)について考えた。 (1) a. 本を3冊読む。 b. 本を図書館で3冊読む。 先行詞とは、数量詞によって数量が表される名詞を言う。(1)では「本」が「3冊」の先行詞である。 報告者は、1990年代に数量詞の研究を行った。本年度の研究目標は、そこで得られた研究成果を部分的に修正しながら数量詞の性質を解明し、その結果を、状態程度修飾と量修飾という2つの機能をもつ程度/量副詞と比較することとした。しかし、そのうち、程度/量副詞との比較はできなかった。具体的な研究成果は以下の通りである。 連用数量詞構文研究の大きな目標の1つに、(1)のような連用数量詞構文の成立条件を求めることがある。そこで、まずは、それについての先行研究をまとめるとともにその問題点を考え、「連用数量詞の先行詞-『遊離数量詞』再論に向けて-」(『聖徳大学研究紀要』25)にまとめた。次に、対象の計量の仕方から数詞数量詞を分類した。数詞数量詞は、まず、対象を個別的、離散的に計量する個体数量詞と、そのような計量をしない内容数量詞に二分される。例えば、「みかんを {5つ/5kg} 買う」の「5つ」は「(買った)みかん」を個別的に計量しているから個体数量詞であり、「5kg」は「(買った)みかん」を一括して計量している、すなわち、1つずつ個別的に計量していないから内容数量詞である。さらに、個体数量詞は2種類に、内容数量詞は4種類に分類されることを明らかにした。この研究成果は、『日本語文法』や『言語研究』などの学会誌に投稿する予定である。最後に、本研究と関係する内容を収めた著書『数量表現・空間表現とアスペクト』の執筆も進めた。
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