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2014 Fiscal Year Research-status Report

日本語史資料としての中世仮名文書の研究─「話し言葉」資料としての書状類の検証─

Research Project

Project/Area Number 24520518
Research InstitutionKyushu Sangyo University

Principal Investigator

辛島 美絵  九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (60233996)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywords仮名文書 / 古文書 / 文体 / 表現 / 書状 / 鎌倉時代 / 原本 / 日本語史資料
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、日本語研究の立場から古文書を取り上げるもので、日本語史研究資料としての仮名文書(仮名が使用されている古文書)の資料性の解明を目的とする。仮名文書は過去の「話し言葉」の研究資料として期待できる非常に貴重な資料である。そこで、本研究では〈仮名文書の資料性を研究して日本語史研究における仮名文書の利用を促進する〉とともに〈日本語史研究に過去の「話し言葉」についての情報の提供をおこない〉日本語史研究に新たな展開をもたらすことが目的である。
以上の目的のため平成24~25年度は、仮名文書の原本の写真を収集して、調査テキストを整備し、用例の分析方法の検討・開発に取り組み、平成26年度はそれを踏まえて、禁止の「不可」の用法に着目して研究を実施した。
仮名を使用することは仮名文書の本質的な特色であるが、それがどのように文体・表現に影響しているか、つまり、仮名文書における仮名の多寡と表現・文体にどのような関係があるかについて考察し<仮名書き部分が多い仮名文書では「細かな状況設定をする」「相手の動作に関心を据え、動作にそって叙述する」「具体的に叙述する」等の傾向が強いこと>を明らかにし、仮名文書の文体の特色として<実社会の相手や物事に即した詳細性、個別性、具体性が挙げられること>を指摘した。その詳細は『九州産業大学国際文化学部紀要』58号に「日本語史資料としての仮名文書─禁止の「不可」を使用する仮名文書から─」(2014年9月刊)として発表し、あわせて禁止の「不可」用例の原本の翻刻、話題、禁止される行為とその種別、文書名の一覧を公開した。
また、仮名文書研究の成果の一環として、朝倉書店刊『日本語大事典』にて「裏書き」「仮名文書」「古文書」「古文書学」等の項の解説を執筆公開し、大修館書店刊『日本語文法事典』にて仮名文書の用例に依拠して「ラレル(古典語)」の項の解説を執筆公開した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画では500通の見込みで仮名文書の原本の調査と複製の収集を行ったが、現在は2100通あまりの収集を終えており、予定よりも4倍以上の成果があった。また、仮名文書の文体・表現の研究についても25年度に予定通り着手し、26年度には方法と方向性を確立して予定通りに分析を進め、成果を紀要論文や事典の項目執筆において公開している。以上をもって「おおむね順調に進展している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度は、26年度に仮名文書の文体の特色として指摘した<実社会の相手や物事に即した詳細性、個別性、具体性>をさらに明確化すべく、書状類でもとくに譲状をとりあげて原因理由表現の比較を通して考察する予定である。
譲状を取り上げるのは、文書としての性質上、いずれも共通する記載内容(譲渡対象物、譲渡文言、譲渡対象物の取得原因、譲与事由等)を有しており、文書間の表現の比較に適していることによる。原因理由表現に着眼するのは他の文献資料でも使用例が多い表現であることによる。漢字専用文書との比較や文書以外の文献資料との比較を通して、仮名文書の表現が当時のどのような日本語を背景としているのかを明確にし、最終年度のまとめとして、話し言葉資料としての仮名文書の価値について結論を導く予定である。

Causes of Carryover

2月に刊行予定の古文書関係の図書を購入するつもりであったが、刊行が遅れたため購入できなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

残額の4,760円は、平成27年度に古文書関係の図書を購入する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 日本語史資料としての仮名文書─禁止の「不可」を使用する仮名文書から─2014

    • Author(s)
      辛島美絵
    • Journal Title

      九州産業大学国際文化学部紀要

      Volume: 58 Pages: 13~35

    • Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Book] 日本語文法事典2014

    • Author(s)
      辛島美絵、仁田義雄、尾上圭介、鈴木泰、木村新次郎、杉本武、青木三郎、青木博史他、全105名
    • Total Pages
      749(665-667)
    • Publisher
      大修館書店
  • [Book] 日本語大事典2014

    • Author(s)
      辛島美絵、佐藤武義 、前田富祺、小林隆、工藤真由美、坂梨隆三、迫野虔徳、杉戸清樹、早田輝洋他、全595名
    • Total Pages
      2452(160,395-396,401,881-883)
    • Publisher
      朝倉書店

URL: 

Published: 2016-05-27  

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