2013 Fiscal Year Research-status Report
史的コーパスを活用した日英語の動詞と形容詞の文法化についての統語論的研究
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24520526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 芳樹 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (20322977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新沼 史和 盛岡大学, 栄養科学部, 准教授 (40369814)
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Keywords | 文法化 / 通時的語彙化 / 構文化 / 脱範疇化 / 複合語 / 反語彙論 / 史的コーパス |
Research Abstract |
小川は、まず、25年5月に東北大学で開催された日本英文学会第85回全国大会のシンポジウム第6部門での発表内容に基づく「Diachronic Demorphologization and Constructionalization of Compounds from the Perspective of Distributed Morphology and Cartography」というタイトルの論文と、23年11月の日本言語学会第143回大会での口頭発表に基づく「Grammaticalization of Near from Adjective to Preposition via Head-Movement, Gradability Declination and Structural Reanalysis」というタイトルの論文が、査読付き国際ジャーナルInterdisciplinary Information Sciences (IIS) Vol.20に掲載が確定している(26年5月刊行予定)。 新沼は、同ジャーナルに、「Grammaticalization of the Particle away in English: A Cartographic Approach」というタイトルの論文の掲載が確定している。 また、小川は、25年11月に刊行された遠藤嘉雄(編)『世界に向けた日本語研究』(開拓社)に、西山國雄氏との共著論文「複合動詞における助動詞化と無他動性」という論文が収録されたほか、IIS Vol.20に、「Auxiliation, Atransitivity, and Transitivity Harmony in Japanese V-V Compounds」というタイトルの共著論文も掲載確定している。 また、小川と新沼は、25年12月に国立国語研究所で開催された国際シンポジウムNINJAL International Symposium 2013: Mysteries on Verb-Verb Complexes in Asian Languages で、What Determines the (Un)ergativity of Emission Verbs: A View from Japanese V-V Compoundsというタイトルの論文をポスター発表した。 また、小川は、26年5月に刊行予定の査読付き国際ジャーナルEnglish Linguistics Vol.31に、Edwin WilliamsのRegimes of Derivation in Syntax and Morphologyの書評の掲載が確定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小川は、公刊準備を進めていたNishiyama and Ogawa (2010)とOgawa (2012)について、1年遅れながら25年度中に掲載が確定した。 また、日本英文学会第86回大会のシンポジウムで小川と新沼がそれぞれ発表し、その後、IISに掲載が確定した論文も、英語の通時的変化に関するコーパスを用いて結果構文や句動詞の用法を調査した結果を踏まえたものであり、本科研費の研究課題に沿うものである。 また、小川と新沼がNINJALで共同ポスター発表した論文も、日本語の複合動詞の文法化に関するものであり、本科研費の研究課題に沿うものである。 ただし、小川と新沼の共著による3つの論文 (日本言語学会口頭発表、SICOGG 14, GLOW in Asia IX)はいずれも、校務の多忙により公刊のための修正が遅れている。 一方で、小川は、西山國雄氏との共著論文「複合動詞における助動詞化と無他動性」という論文を公刊したほか、English Linguistics Vol.31に書評が掲載確定しているなど、本科研費の研究課題に沿うものの、当初の計画にはなかった研究成果も挙げているので、総じて、本科研費による研究は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
小川と新沼は、国立国語研究所が提供している日本語歴史コーパスや中納言・近代女性雑誌コーパス等を用いた、日本語複合動詞の文法化の通時的過程の調査を踏まえて、その成果を国際学会で発表すること、および、小川&新沼 (2010; 日本言語学会口頭発表)と小川&新沼(2011 ; SICOGG 14口頭発表)と小川&新沼(2011 ; NINJAL口頭発表)を査読付きジャーナルに(再)投稿し、公刊を目指す。 小川は、所属する東北大学情報科学研究科に,25年2月に、学内外の16名のメンバーから成る「言語変化・変異研究ユニット」を立ち上げた。これは、本科研費の研究テーマをより一般化したものであり、3年計画で進めるが、この研究ユニットの活動としては、25年度は、コーパスに基づく現代英語の研究者である大名力・名古屋大学教授と、中英語・近代英語の研究者である家入葉子京都大学教授を招待して講演会を開催した。26年度は、同様に招待講演会を年2回開催するほか、言語変化・変異研究の成果を発表するワークショップを夏頃に開催することを予定している。また、昨年9月から編集作業を進めてきた、この研究ユニットの最初の刊行物となる Interdisciplinary Information Sciences 20(2) (Special Issue on Grammaticalization, Lexicalization and Cartography: A Diachronic Perspective on the Interfaces between Syntax and Morphology)が、間もなく刊行予定である。 ただし、小川は、26年度より2年の任期で、本務校である東北大学大学院情報科学研究科の研究科長補佐を併任することになり、校務で多忙を極めているため、研究の進捗への影響が出る可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、24年度以前および25年度中に口頭発表を済ませた論文の公刊準備と、学会から慫慂されていた書評の執筆に、当初予想していたよりも多くの時間を費やしたため、新たな研究をはじめるための準備としての図書購入や、新たな研究成果を公表するための学会出張の旅費の支出が低く抑えられたことが、繰越金が生じた主な理由である。 26年度は、当初の研究計画に沿った研究を行い、その成果を国内外の学会で発表する予定であり、そのための旅費に、25年度の残額と26年度分の研究費の多くを充てる予定である。また、当初の研究計画に沿った研究の推進のために必要な図書の購入にも26年度分の研究費の多くを充てる予定である。
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Research Products
(14 results)