2014 Fiscal Year Annual Research Report
一般文法理論に基づく文断片と文構造のかかわりに関する英文法研究
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24520531
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
天沼 実 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (30222681)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 動的文法理論 / 文断片 / 否定辞付き話題化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非瞬時的・動的な文法モデルの観点から、現代英語の特異な構文の統語的、意味・機能的属性を文断片の形式的特徴や談話構造の属性の反映として捉えるという視点から、より原理的な説明を試み、同モデルによる一般文法理論の構築に貢献するものである。 天沼(2012)による否定辞付き話題化構文の文断片統合分析案の経験的基盤強化を前年度に引き続きはかるため、expressiveなモードの発話が多く含まれるドラマシリーズや映画等の一次資料を更に幅広く調査し、当構文の興味深い実例をさらに数多く収集し、多角的な視点からの観察を重ねた。 当構文が単なる命題否定には用いられず、専ら拒絶、禁止、反駁などの複合的な否定発話行為の言語的手段として用いられることはすでに指摘していたが、当構文の話題句は否定や拒絶、克服などを許さない状況・条件(例・Not in my car you won't (smoke).)や、逆に覆すことを強く要求する状況(例・Not without my money I won't (leave).)などを提示する場合が数多く見られ、おそらく典型であることが伺える。「主節」部に否定応答文と同形式(例・I won't)が現れ、否定が再強調されることと相まって、単なる拒絶や禁止だけでなく、要求や命令などの意図がそれらと複合された形で表現されているものと考えられる。否定的文断片が単独で用いられた場合にも同様の特性が観察され、まさにそのような発話意図を言語形式により明示しようとする機能的要請が否定的文断片と否定応答文の統合というプロセスの重要な動機付けの一つととなっていると考えられる。 文断片統合による分析が有効と思われる他構文の一つとして外的所有格構文に注目し、関係する文断片等についても事例収集と観察をひきつづきおこない、特異性の一つである定冠詞theの出現について導出を試みた。
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