2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520533
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
藤 正明 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (30313381)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 繋辞脱落 / レジスター / 動的文法理論 / 海事英語 / 擬似等位接続詞 / 含意普遍 / 可能な文法への過程説的アプローチ / 言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
海事英語の繋辞脱落には少なくとも次の制約があることが、母語話者への実験によって明らかとなった。[1]主語が代名詞の場合、繋辞脱落は許されない<I {am/*__} on fire!>;[2]主語がDPの場合、繋辞脱落は許されない<{*The/__} person __ dead.>;[3]従属節中の繋辞脱落は許されない<We are too close to the vessel [that MV Victoria {is/*__} overtaking].> さらに、言語類型論では、繋辞脱落を許容する述部の範疇に関する含意普遍(普遍A)--名詞>形容詞>動詞--が提案されているが、海事英語では、すべての範疇を中核とする述部に関して、(上記の制約に従う限り)一様に繋辞脱落が生じることを確認した。この結果は、普遍Aとは矛盾せず、普遍 Aの存在を支持する証拠となると考えられる。 次に、等位接続可能範疇に関する含意普遍(普遍B)--名詞>形容詞>動詞>文--との比較を行うため、擬似等位接続詞as well asの等位接続可能範疇を調査し、英語内部でも普遍Bが成立していることを確かめた。普遍Aも普遍Bも、左端に名詞を、中間に形容詞を含むという共通点がある一方で、右端に来る範疇が、一方では動詞、他方では文という相違点もある。 上記の言語普遍の属性は、梶田優氏の示唆に基づく次の説明により帰結として導出できる。繋辞は最も永続性のある名詞を中核とする述部への導入から始まり、永続性のスケールに基づき、左から右へと拡張して行く。一方、普遍Bは、名詞と文の両方から始まり、同様のスケールに基づき、互いに相手側を目指して拡張して行く。このような動的観点を取り入れると、各レジスターにおける異なる繋辞脱落現象は、習得中間段階における繋辞拡張の可能性が大人の文法として顕現したものと見なす可能性が出てくる。
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Research Products
(3 results)