2013 Fiscal Year Research-status Report
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24520535
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
秋 孝道 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60192895)
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Keywords | 焦点構文 / 前提 / 新情報 / 旧情報 |
Research Abstract |
平成25年度の研究では、24年度に引き続き、当該の焦点構文の焦点要素に関する調査研究を進めた。特に、焦点要素とその周辺部の要素の考察に集中して取り組んだ。作業仮説として提示した具体的分析法の妥当性を検証すべく、従来の分析法と異なり、当該焦点構文の「前提部分」を除く部分、つまり主語場所句倒置文の動詞・焦点主語要素の連鎖、分裂文の虚辞・連辞・焦点要素の連鎖、疑似分裂文の連辞・焦点要素の連鎖を、「非前提的」もしくは「新情報的」と想定することが可能であることを示し、その裏付け作業をさらに行った。 次に、当該焦点構文の二次的な焦点解釈は通常文の焦点解釈メカニズムによってなされるという次の段階への研究に着手した。この作業と同時並行的に、当該焦点構文の「前提部分」の談話機能特性の考察も進めた。現在のところ、この談話機能を「旧情報的話題」と考える可能性を念頭に置いているが、この妥当性を検証すべく「前提」「旧情報的話題」という二つの談話機能概念の実証的な比較検討作業も行った。「話題要素」の特性に関しては、統語的、談話機能的、音韻的研究が十分に進められているので、これらの研究を基礎にして検証作業を進めた。「移動要素凍結性」、「移動の島」、「音調の切れ目」などの他に、「否定作用域」、「文末追加表現(afterthought)」などの項目についても考察を加えた。 今後は、「前提部分」の実証的研究をさらに進めて「前提部分」が担う談話機能の本質を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画のうち、80%の計画を達成することができたと判断している。 また、当初の予想と矛盾しない研究成果をあげることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該の焦点構文の派生に関わるメカニズムの解明を目指し、分裂CP 仮説を想定した理論的研究を行う予定である。この際、「前提部分」の移動に加え、「非前提部分」の語順派生の仕組みを明らかにしたいと考えている。これは、他の焦点構文に比べて、より複雑な語順を持つこれらの「非前提部分」の派生のメカニズムを解明できて初めて、当該焦点構文の本質を捉えることが出来ると考えているからである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2月に行った出張の旅費の支払いが、25年度中に終了していないことによる次年度繰越である。 26年度中に支払いがなされる。
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