2012 Fiscal Year Research-status Report
英語・日本語数量詞句の統語構造、意味・談話的性質、作用域特性に関する理論的研究
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24520536
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本間 伸輔 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40242391)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 数量詞 / 作用域 / 統語構造 / 名詞句 |
Research Abstract |
本研究は、英語と日本語における数量詞句の統語構造と、意味・談話的特性および作用域特性との関係について、生成文法統語論の観点から分析を試みるものである。具体的には、(A) 数量詞句の統語構造と意味・談話的特性はどのように関係しているか、(B) 数量詞句の統語構造と意味・談話的特性は作用域特性とどのように関係しているか、および(C) 数量詞句は、文の統語構造内においてどのように統語的に認可されるか、の3つの問いに答えることを目指す。 平成24年度(当該年度)においては,国内学会等への出席による研究情報の収集,および数量詞句の統語構造と意味・談話的特性との関係の検討(上記(A))、および数量詞句の統語構造、意味・談話的特性と作用域特性の関係(上記(B))について,先行研究の文献のサーベイ,データの整理分析,分析方法の検討,論文の執筆を行った。具体的には、前提性と数量詞句の統語構造,さらに数量詞句の作用域との関係を検討し,(i)数量詞句の作用域を決める決定的要因は数量詞句の統語構造であること,(ii)数量詞句の前提性は部分的に統語構造によって決定されること,(iii)従って前提性は作用域を決定する直接の要因ではないことを明らかにした。さらに,英語のallと日本語の「全員/全部」の統語構造,意味特性,作用域に関する考察を行い,文構造における主題/焦点素性が作用域決定において果たしている役割についても分析を行った。 ここまでの成果を論文にまとめ、2本の論文(本間 (2013) 「数量詞句の前提性と統語構造に関する一考察」『新潟大学教育学部紀要』第5巻第2号),Homma (2013) "On the Scope Property of Zen'in, Zenbu and All" 『言語の普遍性と個別性』第4号)を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成24~26年度において,「研究実績の概要」で述べた(A) 数量詞句の統語構造と意味・談話的特性はどのように関係しているか、(B) 数量詞句の統語構造と意味・談話的特性は作用域特性とどのように関係しているか、および(C) 数量詞句は、文の統語構造内においてどのように統語的に認可されるか、の3つの問いに答えることを目指すものである。 当該年度である平成24年度は上記(A), (B)についての研究を行う計画であり,(A), (B)の点についての検討行った結果,「研究実績の概要」で述べた(i), (ii), (iii)の点を明らかにした。また,文構造における主題/焦点素性が作用域決定に一定の役割を果たしていることも明らかにした。以上の研究の成果として2本の論文を発表した。 従って,部分的に未解決の問題は残っているものの,当初の研究計画に照らし合わせると,概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
<平成25年度> 平成24年度に得られた結果を基にして、数量詞句の統語構造、意味・談話的特性と作用域特性の関係(上記(A), (B))の検討を引き続き行い、さらに数量詞の文構造上の認可システムの検討(上記(C))を行う。数量詞の作用域決定に関わる意味・談話的要因を引き続き検討し、さらに、特にカートグラフィー研究の知見を援用しながら、名詞句の意味・談話特性に関わる素性が統語構造上どのように認可されるかを検討する。以上の課題については,最新の研究のサーベイの継続と(C)の課題である文構造上の名詞句の認可システムに関する先行研究および最新の研究のサーベイを文献および学会出張によって行う。 さらに、(A), (B), (C)の各課題に関して、総合的な検討に入る。数量詞句の統語構造、意味・談話的要因と作用域特性の関連性、および文構造上における認可のされ方についてデータの整理および分析方法の検討を行う。ここまでの研究をまとめた論文を執筆し,成果を発表する。 <平成26年度> 上記(A), (B), (C)の課題に関して、数量詞句の統語構造、意味・談話的特性と作用域特性の関係の検討、さらに数量詞の文構造上の認可システムの検討について総括的研究を行う。各課題に関する最新の文献を購入し文献のサーベイを継続する。また、学会や研究会で最新の研究情報を入 手する。上記課題についての総括的な分析の結果をとりまとめ、発展的内容の論文を執筆、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の残額41,977円は,平成25年3月10日~11日の南山大学への出張旅費であり,本報告書の作成時点では未執行となっているが,この支払いは平成25年4月に執行予定である。このため,この残額は平成25年度の研究費の執行予定に何も影響を与えるものではなく,平成25年度の研究費は当初の予定通り使用する計画である。
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