2013 Fiscal Year Research-status Report
日英語の構文に反映される主観的・客観的事態把握に関する認知言語学的研究
Project/Area Number |
24520537
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀田 優子 金沢大学, 歴史言語文化学系, 准教授 (90303247)
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Keywords | 主観性・客観性 / 認知文法 / 構文 / グラウンディング |
Research Abstract |
今年度も、「主観性(主体化)/客観性(客体化)」に関連する先行研究の検証と、研究対象とする以下のいくつかの構文の先行研究の検証を行った。日英語の移動表現や視覚的虚構移動表現(視覚表現にみられる虚構移動)、並びに、今年度新たに研究対象とした付加疑問文などの言語データを、大型コーパス(British National Corpus, Corpus of Contemporary American Englishなど)や小説などから抽出し、適宜データの容認性に関してコンサルタントに確認した上で、認知言語学的側面からその分析を行った。 構文に反映される事態把握を主観性・客観性の観点からより詳しく検証するため、今年度は、日本語と英語で出版されている小説に出てくる上記の表現をそれぞれ抽出し、得られたデータから日英比較を行い、認知文法の観点から分析を試みた。特に、日本語の視覚的虚構移動表現が英訳された際に、日本語表現と英語表現では大きく異なり、その特異性に関して主観性・客観性の観点から説明を試み、その成果をまとめている段階にある。 また、話し言葉で用いられる表現においても主観性/客観性がどう反映されているかを検討する必要性が出てきたため、英語の付加疑問文を取りあげ、日本語の終助詞の用法と比較し、認知文法の観点から分析を進めている。今年度は、急ぎ、先行研究の洗い出しと大型コーパスからのデータ収集を行い、日本語についても、対応する言語データを、国立国語研究所が提供するコーパスやWeb検索、小説等を通して、適宜、採取した。その分析結果については、今年度は成果として示せなかったが、来年度発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画に含んでいた英語の度量表現に関する研究が思うように進まないことから、研究対象とする表現を変えて、今年度は、日英語の視覚的虚構移動表現、並びに、新たに英語の付加疑問文と日本語の終助詞に関して、主観的・客観的事態把握の観点から分析を試みることにした。その成果は、次年度掲載予定の論文に一部まとめたが、研究の進捗状況の遅れから、今年度の成果として間に合わなかった。来年度は最終年度なので、これまでの研究成果を論文として複数発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
英語の度量表現に対する研究が思うように進まなかったため、研究対象とする表現を、本研究課題と関連の深い付加疑問文に変え、途中から研究の重きをそちらにおいている。今後は、日英語の様々な構文、特に、英語の同族目的語構文、日英語の移動表現や視覚的虚構移動表現、及び、英語の付加疑問文と日本語の終助詞の用法について、「主観性/客観性」及び「グラウンディング」の観点からの認知言語学的分析を継続して行い、最終年度にまとまった研究成果を発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、未使用の助成金が発生した理由としては、物品の購入額が当初想定していたよりも安くすんだことと、資料等の整理とコンサルタントの協力に謝金が発生しなかったことなどが、主な理由である。 最終年度は、引き続き研究を進めるにあたって、最新の研究情報や資料の収集のための費用、資料等の整理のための謝金、研究成果を発表するための旅費、及び、国内外の研究者との研究交流を図るため、ワークショップを開催する際の発表講師らの旅費等に使用したいと考えている。
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