2012 Fiscal Year Research-status Report
米語における歯茎弾音と日本語ラ行弾音の比較分析研究
Project/Area Number |
24520544
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安仁屋 宗正 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (60202652)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流、米国 |
Research Abstract |
本研究の第一段階である先行研究の精査分析と理論の深化及び精密化を行った。具体的には、英語歯茎弾音に関する音声学的及び音韻論的分析や研究を行っている先行研究(英文・和文)を精読しその研究内容を分析した。また、日本語のラ行弾音に関する音声学的及び音韻論的分析や研究を行っている先行研究(英文・和文)を精読しその研究内容を分析した。英語歯茎弾音の先行研究と日本語のラ行弾音の先行研究を精査分析した結果、以下の7つの相違点と1つの類似点が明らかとなった。 相違点:1.英語歯茎弾音は異音であるが、日本語ラ行弾音は異音ではない。2.英語歯茎弾音は鼻弾音を含むが、日本語ラ行弾音は含まない。3.英語歯茎弾音は無声音化するが、日本語ラ行弾音は決して無声音化しない。4.日本語ラ行弾音は語頭で起こるが、英語歯茎弾音は語頭で起こらない。5.日本語ラ行弾音は側音があるが、英語歯茎弾音は側音がない。6.日本語ラ行弾音は口蓋化が起こるが、英語歯茎弾音は口蓋化が起こらない。7.日本語ラ行弾音の持続時間は、英語歯茎弾音の持続時間より少々長い。 類似点: 1.英語歯茎弾音と日本語ラ行弾音は、口蓋の歯茎部分が調音点となる。 これらの点は、本研究の目的である英語歯茎弾音と日本語ラ行弾音の対照研究を行う際の基礎的知見を与えるだけでなく、さらなる分析・研究の手掛かりを提供している点において重要であり意義があるといえる。上記の明らかになった点に基づき、本研究の第二段階(平成25年)では、上述の相違点(3)と(7)に焦点を絞って、本研究の第二段階である米国現地における大学生を対象とした音響音声学フィールドワークと日本での大学生を対象とした音響音声学フィールドワークを実施し先行研究で明らかになった点を検証する。なお、上記成果の一部は、日本中部言語学会定例研究会(静岡県立大学 2012.12.8)で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおりに進展しているといえる。本研究は第三段階からなるが、第一段階である先行研究の精査分析して、英語歯茎弾音と日本語ラ行弾音に関する音声学的、音韻論的対照研究の理論の深化及び精密化は上記の研究実績の概要に述べてあるように相違点と類似点が明らかにされた。それに基づいて、第二段階に研究を発展させることが可能になっており、本研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究の第二段階である米国ワシントン州シアトルにあるUniversity of Washingtonにおいて音響音声学フィールドワークを実施する。現在、現地受け入れ大学であるワシントン大学言語学科長、教員及び専門職員と連絡を密にしてビザ申請手続きを進めている。また、音響音声学実験に関して必要な手続きや書類を準備中である。滞在の時期と期間は、平成25年の9月13日から10月13日の一ヶ月間の滞在予定である。当初は、二週間の滞在予定であったが、滞在期間の延長をせざるを得ない状況があった。受け入れ側のワシントン大学言語学科長から、音響音声学フィールドワークの研究内容及び手続き上の面から二週間では、受け入れ後に現地で必要な手続き、またフィールドワーク期間中に公開発表が課されていることから一ヶ月に延長するよう要請があったからである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画どおりに、音声学及び音韻論関連学術書籍の購入に予定額を使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)