2013 Fiscal Year Research-status Report
日英語対照による語形成のメカニズムと音韻構造に関する研究
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24520545
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
太田 聡 山口大学, 人文学部, 教授 (40194162)
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Keywords | 略語 / アクセント / 派生語 / 複合語 / 連濁 |
Research Abstract |
平成25年度は、日英語の略語形成論、英語の語のアクセント論、さらに日本語の連濁の関連問題の研究に取り組んだ。 日本語の外来語の省略形に関しては、従来、音節の種類とその組み合わせによって制約を論じたものや、アクセントの位置に着目した論や、擬似複合語という概念を用いる説明などが提案されてきた。しかし、これらの分析ではうまく説明できない例が多数あった。そこで本研究では、例えば「アポイントメント」が「アポ」と略されることなどは、「同音から成る競争相手がなくなるまで長くする(競争相手がなければ長くしない)」という原則で最も効率よく説明できることを論証した。そしてこの捉え方であれば、例えばinformationの場合、inと略したのではin-で始まる語が多すぎてあいまいであるが、infoであればinformationに特定できる、といった具合に英語例にも応用できることなどを示した。 英語の語アクセントに関しては、最新の理論を書評の形で批判的に検討し、特に派生語の語中における強勢型の違い(例えば、expectationの第2音節には強勢が残るが、explanationの第2音節には強勢がなくなるといったこと)が、何によって引き起こされ、それをどのように理論化することが妥当であるのかを詳述した。 複合語の連濁に関しては、その分類基準について新しい提案を行った。従来は、連濁が66%以上の例に見られれば連濁を好む語、33%以下の例にしか見られなければ連濁を嫌う語、というような分類が行われてきた。これは、単純に100%を3等分した数値を当てはめていっただけで、その妥当性には疑問があった。そこで、より厳密な統計的手法を用いて、連濁しやすいグループとしにくいグループの線引きはどこで行うべきかを考察し、「0.89」という境界値を導き出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本語の外来語や英語の派生語に関する分析に研究が偏り、日本語の漢語複合のアクセントに関する考察が当初の予定ほどにはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、日本語複合語の連濁に関する研究を、辞書データベース分析や無意味語テストの結果を交えながら、論文にまとめ上げる。また、日英語の複合語アクセントに関する論考も論文にまとめたい。さらに、日英語の名詞を作る接辞の振る舞いの異同に関する考察にも着手する。
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Research Products
(4 results)