2012 Fiscal Year Research-status Report
英語の関係詞節の接続形式と発話解釈に関する意味的・語用論的研究
Project/Area Number |
24520548
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
中山 仁 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (70259810)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関係詞 / 制限的関係詞節 / 非制限的関係詞節 |
Research Abstract |
本研究は、関係詞節を含む英語表現に関する広範な事例観察を通して、主節と関係詞節の連結関係についての特徴を、意味的・語用論的観点から明らかにしようとするものである。 研究初年度となる平成24年度は、主に主節と関係詞節の緊密度について、これまでの研究で用いた資料の再検討、および、関連する新たな事例の収集と分析を行った。関連する現象として既に着手しているタイプの文は、(1) のような、主節から完全に分離した (すなわち独立文となった) 非制限的関係詞節と、(2) のような、主節と密接な連結関係を持った (すなわちcommaなどの区切りの介在しない) 非制限的関係詞節である。 (1) We can take one or two clouds on our Christmas cheer … Speaking of which, where’s Bill? I want to wish him season’s greetings.’ (2) He took it [a report] straight in to Radl who opened it and examined the contents. とりわけ、本年度は (2) のような密接な関係にある関係詞節構文について検討を進めた。(2) については、本報告者のこれまでの研究によれば、「非制限的関係詞節が、文脈あるいは主節の情報に基づき、必然的帰結、または、聞き手にとって予測可能な情報であると話し手が意図している」場合に生じる傾向があるとの結論であったが、検討を進めた結果、連結の緊密度の関係を説明するには、「必然性」や「予測可能性」という概念では不十分であり、伝達内容全体において、関係詞節で示された情報の重要度を考慮に入れる必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度研究実施計画によれば、本年度の目標は、主節と関係詞節との緊密度に関するこれまでの結論を支持する資料の充実を図り、語用論的要因を中心に、非制限的関係詞節の緊密度の関係を整理することであった。その結果、従来の説明を支持する事例を数多く確認することができたが、その一方で、従来の説明概念だけでは不十分な事例についても確認された。ただし、このことは、節同士の連結の緊密度に関して、より一般的な説明が必要であることを示唆するものであり、今後の研究の発展に役立つ結果を得ることなった。以上より、現在までのところ、おおむね計画通りの進捗状況にあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
制限的関係詞節とその主節との連結関係について検討を開始する。問題の中心となるのは、「制限的関係詞節と非制限的関係詞節との間であいまいな位置づけがなされている関係詞節」である。具体的には、先行詞と関係詞節との修飾関係において、関係詞節が限定的に機能する場合と記述的に機能する場合を個々の事例について吟味し、それらが制限的関係詞節と非制限的関係詞節という二分法では説明が困難であることを示す。また、形式上は制限的関係詞節であるにもかかわらず、発話意図によって制限的関係詞節と非制限的関係詞節の両方の解釈の可能性が生じる表現についても合わせて検討する。これらの事例は、制限節と非制限節が何らかの形で連続的な関係にあることを示唆している。本研究ではそれが意味的・語用論的要因に基づくものであると仮定し、その要因の解明をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費が生じたのは、オンライン・データベース利用料の支払い手続き上の理由によるものである。支払いは契約満了する日時(すなわち、当該年度最終日である3月31日)を過ぎてから行われるため、この分だけ次年度使用額として発生した。したがって、この分は当初の予定通り、資料収集・分析に必要な英語コーパスの利用のために支出される。
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Research Products
(2 results)