2012 Fiscal Year Research-status Report
多言語社会における国際共通言語としての英語コミュニケーション標準の構築
Project/Area Number |
24520552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
生田 祐子 文教大学, 国際学部, 教授 (50275848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 礼子(高橋礼子) 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 講師 (30613913)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リンガフランカとしての英語 / 共通言語としての英語 / 英語コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究では、国際協力の現場に従事する非英語母語話者の間で、共通言語としての英語(ELF=English as Lingua Franca)を使用する際、円滑に意思伝達するための対話能力に求められる国際標準を検証する。特に異文化間において相互理解を促進するためも、共有する要因と考えられる、Communication Logic(対話ロジック)(Ikuta & Takahashi, 2010)について、質的調査を実施するために、次の調査と本調査に関する準備を行った。1. 欧州多言語主義、ELF、言語政策と教育、異文化コミュニケーション、国際現場における対話ロジックの問題に関する文献調査。2. フィールド調査研究方法、調査対象者の抽出方法に関する文献調査。3. 研究協力者(ロンドン大学関係者)より研究方法に関する意見聴取。4. パイロット調査のために、調査対象者への事前調査票を作成。5. 国内外の国際機関への調査協力の依頼。以上の調査と準備段階を経て、2013年度に本調査を開始する。調査方法は、インタビュー(semi-structured interview)手法を用い、内容に関して個々の文脈を重視する分析を行い、質的に意義のある調査を実施する。調査対象者は、国連関連機関とその他国際機関勤務10年以上の人を対象とする。コーディングした分析データをもとに、非英語母語話者間の英語コミュニケーションを円滑にすすめるファクターを考察し、共有可能な標準概念とルールを構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究、調査に関する文献調査と調査項目の検討、協力者へのコンタクトをほぼ予定どおり終了した。インタビュー調査対象者を選定する目的のために、予定ではオンラインで広い範囲の調査対象者にバックグランド調査票を送り、事前に英語を習得した背景調査をすると計画したが、調査対象者を個々のインタビューを実施する際に、口頭で収集することに変更した。その理由は、適宜相手の回答内容にあわせて、質問項目をその場で変更、追加することで、より正確な背景データが入手でき、質的データの分析に役に立つと判断した。インタビュー調査は、共同研究者(高橋礼子学習院女子大学講師)との調整により、2013年度の8月以降に行う予定である。共同研究者は2012年度の12月より産休に入っているため、研究計画に半年ほどの遅れが生じている。また、研究連携者(関口幸子准教授)は、文教大学から明治学院大学へ2013年4月に移動したため、本研究での連携から外れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度前半に、候調査対象者を確定し、インタビュー調査の項目を決定する。調査は、8月以降に研究代表と共同研究者が実施する。そのため、データの分析は年度の後半に予定する。インタビューの音声データを文字化したあと、質問への回答内容のコーディングを行い、次の課題に関して考察する。 1. 国連関連機関の多言語社会において、共通言語として英語(ELF)コミュニケニーションの課題は何か。 2. 共通言語としての英語(ELF)を使用する話者間に存在する言語文化、価値、社会通念は何か。 3. 共通言語としての英語(ELF)を資料する話者間に求められるまたは共有すべき対話ロジックとは何か。 以上の課題に関連した調査結果から、ELFコミュニケーションに求められる標準を考察し、その有効性および妥当性の検証を試みるコミュニケーション(対話)実験プロジェクトを実施する。特に、相手の文化背景の知識が少ない、日常的に互いの英語を聞く機会のない非英語母語話者間の対話を観察するため、コソボとロシア(ブリヤート共和国)の大学とのテレビ会議システムを利用する交流授業を予定している。ブリヤートの大学は、日本と時差がないため、双方の大学の授業中に対話実験が可能になるため、追加した。キプロスは、授業を利用するためには、時差の調整がむずかしく実施が難しいと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 2013年度の調査結果をもとに、第1段階の結果をまとめ、AILA2014(世界応用言語学会)@Brisbane, Australia で論文の発表を予定している。→ 渡航費2人分、データ分析に関する謝金 2. 上記の論文を、World Englishes等の関連の国際ジャーナルに投稿する。 → 英文校正費用、投稿料
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