2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Expected Standards of English as a Lingua Franca for Multilingual Communities
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24520552
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
生田 祐子 文教大学, 国際学部, 教授 (50275848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 礼子 (高橋礼子) 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 講師 (30613913)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 共通語としての英語 / リンガフランカとしての英語 / 英語コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国際機関に従事する非英語母語話者の間で、ELF(=English as Lingua Franca)を使用する際、円滑に意思伝達するための対話能力に求められる標準概念を検証した。日本人の国際機関職員を対象に調査したところ、IC(=Inner Circle)を基準とする傾向は英語のライティングにおいては顕著であるが、英語のスピーキングではほとんど見られなかった。その際、母語の影響による発音は意思疎通の阻害要因とはならず、話し手のintelligibility(明瞭さ)が円滑なコミュニケーションの重要な要因であると考えられる。この結果に基き、英語非母語話者の大学生間で遠隔交流授業を実施した際に、日本人学生とロシア人学生とのコミュニケーション上の阻害要因を観察したところ、母語の影響による発音は問題ではなく、同様にintelligibilityが重要な要素であると分かった。最終調査として、200名の日本人を対象に英語使用時の意識に関するアンケートを実施した。対象者は、全員が英語を使用する仕事に従事しており、150名が経営者を含む海外事業に携わる会社員、50名が中学または高校の英語教員である。その結果から判明したことは、ICを英語使用の基準としている割合は、英語教員がより高く、会社員の方が多様性を受容する意識が高いことである。望ましいリスニング力については、世界の多様な英語話者の発音が聞き取れる必要があると考え、自ら発する英語に関しては、文法への正確さや母語話者に近い発音であることよりは、声の大きさやintelligibilityが大事な要素であると考えていることがわかった。今後、comprehensibility(理解できること)や listenability(聴く力や態度)を重視する発信力の育成が英語教育の課題であると考える。
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