2014 Fiscal Year Research-status Report
日本語Can-do statements項目の解釈に関わる基礎研究
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24520562
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鹿嶋 彰 弘前大学, 国際教育センター, 准教授 (60372281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 敏子 日本大学, その他の研究科, 教授 (00409137) [Withdrawn]
島田 めぐみ 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50302906) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / Cdsによる自己評価 / JFL学習者 / タイ / 台湾 / 自己評価の「ばらつき」 / 自己評価の「ゆれ」 |
Outline of Annual Research Achievements |
Can-do statements(以下Cds)による自己評価は、従来のテストに代わる、あるいはこれを補完する有効なツールであるという分析がある一方、評価者の項目解釈が何らかの理由で異なることにより、一定の評価が得られていない、という分析もある。本研究では、そこで、海外の外国語としての日本語学習者(以下JFL学習者)を対象の中心とし、漢字圏学習者(台湾の中国語話者)と非漢字圏学習者(タイ語話者)別に、Cdsの項目がどのように解釈されるかについての基礎情報を得、それによって項目解釈が一定にならない原因を分析することを目的とする。特に、本研究では、同様な日本語レベルの評価者間に見られる評価点の異なり(以下「ばらつき」)、同じ学習者が日本語レベルが上がっているのに以前に比べ評価が下がること(以下「ゆれ」)の二つの現象に焦点を絞って、その原因を分析することを研究目的の中心とした。平成24年から台湾で、平成25年からタイで「ゆれ」の原因分析のための経年調査を始め、平成26年は、「ゆれ」の分析を中心に研究を進めた。 平成26年はタイ語話者のみの調査とし、コンケン大学人文社会学部日本語学科の学生14名を対象に調査を行った。調査は従来からの「話す」項目に加え「聞く」項目を入れ、計40項目に自己評価をしてもらい、自己評価のさいの項目解釈についてインタビューを行った。14名中10名は2回目あるいは3回目の調査で、10名の「ゆれ」分析のためのデータを得た。 成果報告は、平成25年以前の8名の経年データを元に「ゆれ」の原因を分析し、シドニーの日本語教育国際研究大会で発表し、3年の経年データを得た2名の「ゆれ」の原因を分析し、沖縄県日本語教育研究会で発表を行った。 今後、「ばらつき」「ゆれ」双方の原因の分析を論文にまとめ、「聞く」項目についても同様の分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
特に遅れているのは、予備分析部分を除く音声データの文字化、質問紙調査の基本統計量等の分析の部分である。大きい理由は昨年同様研究体制の変更(参加者の減少)があるが、それに加え、研究代表者の本務校の組織替え等に伴う事務量の増加が加わり、全体作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、本研究は昨年で終了させる予定であったが、1年の延長を申請しそれが認められたため、この1年で「話す」項目に見られる「ばらつき」「ゆれ」の原因分析に加え、「聞く」項目の分析にも言及していく予定である。 今後の推進方策は、昨年同様、1)遅れているデータ処理を進める、2)「聞く」項目についても経年データの収集を行う、3)分析を進め、口頭発表を行い、論文にまとめていく、この3点を平成27年度の課題にすることである。 成果報告の一部は、Cds分析が進んでいるヨーロッパで行うことを予定し、8月に行われるヨーロッパ日本語教師会大会に投稿が完了している(結果は未定)。それ以降は、国内での成果報告および論文執筆に集中する。 また、調査協力をしてくれた二機関に対しては成果からのフィードバックを行う予定である。
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Causes of Carryover |
前記の理由で、研究自体が遅れている。そのために、必要な調査、そのデータ分析に基づいた成果発表、最終報告が平成26年度に完成できず、その分に必要な予算の次年度繰越が認められている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「聞く」項目に関する「ゆれ」分析のための資料収集は、昨年度の1回目を行うことが出来たのがタイ、コンケン大学のみだったため、タイ語話者のデータのみになってしまったが、このデータ収集が不可欠であり、これを行う。また同時に「話す」項目に関する「ゆれ」の積み重ねを同時に行うための調査に繰り越しされた科研費を充てる。 また平成26年度に得たデータ分析を元に、成果発表の応募をしている。今年度のデータを含め、今までのデータに基づき、成果報告をする予定であるが、そこに使用する計画がある。最後に、協力校へのフィードバックを含めた報告書の作成等に使用する。 大まかに、この三つの使用計画を考えている。
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