2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者の読解を困難にする要因の解明とそのモデル化
Project/Area Number |
24520563
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
高橋 亜紀子 宮城教育大学, 国際理解教育研究センター, 准教授 (10333767)
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Keywords | 読解 / モデル / プロセス / 要因 / 構造 |
Research Abstract |
日本の大学や大学院で学ぶ留学生にとって、読解は重要なスキルである。レポートや論文を書く、ゼミで発表するなどのために、文献や資料を読み、重要な情報を取捨選択しながら、内容を把握する読解能力が必要である。しかし、日本語の学習時間は限られており、実践的な読解指導は十分に行われていないのが現状である。そのため、学習者が自律的に読む力を養成する指導法の確率が急務である。 読解の指導方法や教材開発は進んできているが、学習者がどこで、何に、どのようにつまずいているかという根本的な原因は明らかにされていない。読解には様々な要因が深く関係しあっており、これらの要因がどのように文章理解と関わるかについて解明されていない。そこで、本研究では、日本語学習者が遭遇する読解の困難点と、それらがどのような要因で構成されているのかを詳細に調査し、分析したうえでモデル化することを目的としている。 平成25年度は、平成24年度に行った先行研究の整理、方向性をもとに、読解を困難にしている問題点について、より深く探ることを目的に、実験及び分析を行った。 日本語母語話者と上級の日本語学習者に対して、文章を読んでもらいその内容を報告してもらうという再生実験の追加実験を行った。日本語母語話者と比較すると、日本語学習者は、文章中の詳細な情報を再生するものが多く、上級の学習者であっても重要な情報の選択に困難を抱えているものが多いことが分かった。また、文章の階層構造の点から分析を行ったところ、日本語母語話者は重要な情報が集まる上位階層、詳細な情報が集まる下位階層まで連続してとらえていたのに対して、日本語学習者は下位の階層だけを再生してしまうなど、全体構造がうまくとらえられていないものがいることが分かった。このことから、文章の構造という視点からも学習者の問題点を探っていく必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
困難にする要因として、文章構造やテキスト、読み手の日本語学習レベルなどを考慮して、実験を行い、分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24・25年度に実施した実験をもとに、さらに実験をすすめ、読解を困難にする仮モデルの提案を検討していく。さらに、調査に必要となるデータを収集するために、読解の文章の収集および問題の作成を進めていく。javascript:onSave();
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料収集やデータ整理などの謝金が発生する仕事を依頼するはずであったが、適当な協力者が得られなかった。 資料収集やデータ整理など、研究を進めていくのに必要な謝金が発生する仕事を協力者を早急に見つけて依頼し、使用する予定である。
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