2013 Fiscal Year Research-status Report
漢字教育におけるグループ学習-学習効果の検証と教材の開発-
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24520574
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
濱田 美和 富山大学, 国際交流センター, 准教授 (20283054)
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Keywords | 漢字学習 / 日本語学習者 / 中・上級 / グループ練習 / 教材開発 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、日本語学習者同士で効果的に練習活動が行えるような、漢字学習教材を開発することである。本研究を始める前に、日本語力が中・上級レベルの学習者を対象に、複式で授業を行っている漢字クラスにおいて、学習者個人あるいは学習者同士で行える様々な教材の作成を試みた。本研究では、この中の学習者同士で行うグループ練習用の教材に焦点を当て、学習者間のやりとりの様子、および、学習者1人1人の習得状況を観察することによって、活動を活性化させるために必要な要素は何か、そして、グループ練習でどのような学習効果が見られるのかを明らかにする。そして、この結果をもとに教材の開発を行う。 平成25年度は、平成24年度に収集したグループ練習における学習者間のやりとりのデータの分析に着手し、次の2点を明らかにした。1つは、グループ練習の漢字学習における効果である。データを分析した結果、学習者間のやりとりには、教材に沿って出題・解答したり、互いに考えた解答を確認し合ったりするほかに、相手の発言内容を確認したり、自分が知らない漢字の読みや意味を相手に質問することによって生じるやりとりも見られた。このように、特に漢字の読みや意味において、学習者同士で知識を共有したり、相手の反応から自身の間違いに気づいたりといった共同学習の利点が確認された。もう1つは、学習者のやりとりから、グループ練習の活動が円滑に進まない要因の観察である。学習者のみで活動を進めるには、指示文も設問もより簡潔に、見やすく提示し、カードの種類や枚数も制限し、解答の確認も学習者自身で間違えた箇所を把握しやすいようにするといった教材の工夫が求められることがわかった。そこで、タブレット端末を教材の一部に組み込むことにした。この結果、以前よりも円滑に活動を進められるようになり、教材の改善へとつなげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、平成24年度に収集したグループ練習における学習者間のやりとりのデータの分析に着手し、次の2点を明らかにした。1つは、漢字学習におけるグループ練習活動の効果の確認、もう1つは、学習者のやりとりからグループ練習の活動が円滑に進まない要因の観察である。また、教材の改善のために、新たにタブレット端末を教材に組み込むことも試みた。当初の予定通りにデータの分析、および、教材開発を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな学習者を対象として、引き続き、次の3つの調査を実施するともに、分析においては、特に漢字の読みに関して学習者間での知識の共有が見られたため、漢字の読みに注目してさらに分析を深める計画である。 [調査1]これまでに作成した教材に改善を加えた上で、その教材をもとにグループ練習時の学習者間のやりとりの様子を観察する。 [調査2]グループ練習に対する評価のための調査を実施する。 [調査3]学習者の漢字の習得状況を測るためのテストを実施する。 そして、3年間の研究成果をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教材開発用に予定していた経費について、データの分析結果をもとに、教材の開発方法を一部変更したため、当該年度での使用を見送ったことによる。 1.研究成果発表・資料収集のための海外渡航費、2.研究補助謝金(資料収集・整理)、3.日本語教育関係図書および文具・磁気ディスク類の購入費として使用する計画である。
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