2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語・中国語・英語の発話行為と日本語学習者語用論的能力の習得に関する基礎研究
Project/Area Number |
24520579
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
畑佐 由紀子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40457271)
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Keywords | 第二言語習得 / 発話行為 |
Research Abstract |
一昨年度に対象とする発話行為に関連する先行研究を調べた結果,研究によって扱う場面にばらつきが多く、要因の統制が取りにくいことがわかった。そこで、ぞれぞれの先行研究について英語と日本語で、引用元の文献、研究概要(調査対象者、研究計画、手続き、分析結果など)、そして、調査に使用された質問項目や刺激を含むデータベースを作成した。英語と日本語を用いたのは、先行研究の大半がこのどちらかでなされていたからであり、不足している言語の方を翻訳しデータベース化した。、 このデータベースを元に,日本人とアメリカ人の大学生に場面の親密度、現実性を評価させ、大学生にとってより現実味のある場面や状況の特徴を探った。また、学生には自分の実生活に照らし合わせて、どのような場面が考えられるかを面接法を用いて引き出した。さらに、誤解場面に関して、質問紙調査を行い、アメリカ人日本語学習者が日本人との誤解場面で、どう対処するのかを調べた。その際、学習者と母語話者の人間関係を上下、親疎関係によって操作した。また、誤解が解決されない場合の問題の大きさも操作した。回答としては実際に誤解を解こうとするか否か、するならどのように解くかを書いてもらい、それを意味公式と表現ごとに分類・分析した。 学習者の発話行為の問題と先行文献調査についてはJournal CAJLEで発表した論文の一部で紹介した。また、アメリカ人学習者の調査については研究科紀要に論文を執筆した。さらに、本年度の調査から得られた教育的示唆を元に、教材を作成し、今回出版した教科書のコミュニケーションストラテジーのセクションで扱った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、9つの発話行為を対象として調査を進めていたが、文献調査を進めていくうちに、それぞれの発話行為で扱われている場面が多岐にわたることや発話行為に影響しうる要因や場面が想定以上に多いことがわかった。そのため、それぞれの発話行為に関して調査する項目が予想外に多くなり、調査協力者の人数が5~6倍必要となった。しかし、本科研の範囲でこれだけの人数を集めるのは現実的に難しく、また謝金の面からも難しいため、研究の範囲を縮小する必要が出てきた。この方向修正に伴い、調査刺激の再考と,翻訳に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度収集したデータについて、更に分析を進めるとともに、質問紙を改良して,再調査をするとともに、中国語に訳し,中国人日本語学習者を対象に調査を進める予定である。また、このうち,いくつかの場面については、学習者と教員の面談での会話の収録を継続的に行い、そこから、発話行為を抽出して、先行研究との比較を行う予定である。
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Research Products
(3 results)