2012 Fiscal Year Research-status Report
工学系留学生に必要な異文化間協働のためのストラテジーの調査研究
Project/Area Number |
24520580
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
アプドゥハン 恭子 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00184630)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 異文化間協働能力 / ビジネス日本語教育 / インタビュー調査 |
Research Abstract |
本研究は、工学系の留学生が企業で「グローバル日本語人材」として働くためのコミュニケーション能力を高める教育方法を開発するための基礎的研究として、企業で働く元留学生の事例を調査して主に異文化間協働能力はどのように形成されるのかを明らかにし、その能力養成のための教育方法を開発するものである。 本年度はまず、大手企業の開発部門で働く技術総合職の異文化意識について個人面接とグループ調査により詳しく調査すると共に、これまでの研究と合わせて縦断的にその意識の変化を考察した。その結果、入社当時はチームで仕事をする職場環境に適応するため、元留学生は対人関係において積極的にストラテジーを活用して適応に努めており、効率的な仕事運営のために抵抗は感じていないが、日本の人間関係の構築方法を日本文化習慣に沿った異質なものと捕らえ続けていることが分かった。そして入社3,4年目から携わっている母国企業との交渉の場では、母国の対人関係のストラテジーを活用して、商習慣や仕事の進め方の違いを調整しようとしていることが観察された。 また、分析して得られた元留学生の問題意識を、就職内定を得た在学中の留学生に対して事例として活用したグループ活動を行い、その反応を観察し、開発教材への手掛かりを得た。 日本語教育学会、ビジネス日本語研究会等に積極的に参加して、情報収集を行った。 今年度の調査の成果について5月の日本語教育学会の春季大会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では3名の事例研究を柱としていたが、今年度はその中で例が多いと考えられる大手企業の開発部門技術職に焦点を当て、2名の個人面接、3名のフォーカスグループインタビュー調査を行った。これにより、以前の研究と合わせ、元留学生から見た入社5年目までの問題意識の変化を縦断的に考察することができた。フォーカスグループインタビューの効果も観察できた。 この元留学生の問題意識を在学中の就職内定した学生に提示して、グループ活動を試み、教材開発へのパイロット調査も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
海外進出しようとする国内企業で技術移転の担当者として働く元留学生への聞き取り調査を行って、異文化協働のためのストラテジーを調査する。できれば、現地企業で働いている元留学生の意識調査も行って比較検討したい。国内の元留学生についても入社から日が浅い者についての調査を補強したい。 計画していた、在籍留学生に対してのフォーカスグループインタビューの方針を定め、適切な時期に実行する。今年度の内定学生に対しても、試作した教材を用いて、その効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の調査の成果発表、情報収集のために旅費を使用する。インタビュー調査を引き続き行うための旅費が必要である。インタビュー調査やグループ活動の書き起こしや資料整理のために謝金を必要とする。物品については、関連書籍やPC周辺機器を購入予定である。
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