2014 Fiscal Year Research-status Report
工学系留学生に必要な異文化間協働のためのストラテジーの調査研究
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24520580
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
アプドゥハン 恭子 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00184630)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 異文化間協働能力 / ビジネス日本語教育 / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
企業で働く工学系元留学生の異文化間協働のためのストラテジーについて引き続き調査を行った。昨年度の調査から、企業での適応力は大学までの日本人学生との接触体験による影響が大きいと思われたので、適応力があると思われる大企業勤務1年目の元留学生(ラオス)を加えて調査した。大学での経験よりも対象者の適応への意思が強く作用していることがそのストラテジーから観察された。加えて、日本語が堪能な元留学生にとっての困難点が浮き彫りになった。 昨年度のインドネシアでの調査に続いて、今年度はベトナムの日系企業で働く元留学生4名にグループインタビュー、個別インタビューを行い、そのうち1名の上司への聞き取りを行うことができた。また、ベトナムに進出した日系企業の現地法人勤務者に対し、入社4年目の縦断的な聞き取り調査を行うと共に、現地での仕事遂行上の課題に対するストラテジーを観察した。 国内企業で働く非漢字圏出身者の調査については、入社1年目のバングラデシュ人に対して調査を行った。企業内文書が英語であることから、入社前に必要と感じていた日本語能力と入社後に必要とされる日本語能力の違い、それに基づく適応ストラテジーを観察できた。 以上の調査により、日本企業で働く際の違和感とそれに対処するための異文化間協働ストラテジーについて、昨年度得た枠組みを補強・修正する資料が得られた。 聞き取り調査の資料は書き起こして文字化し、分析を行っている。日本語教育学会やビジネス日本語教育学会などでビジネス日本語教育や就業者への調査を基にした教育実践など、本研究に関連する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の日系企業で働く元留学生について、ベトナムでの調査を行い、異文化間協働のためのストラテジーについて、昨年度得た枠組みを補強・修正する資料が得られた。また、海外進出を図る国内企業勤務者が実際に現地法人の立ち上げに関わったことから、予定していた調査が遅れたが、年度末にその過程における課題も含めて調査することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行った調査結果の分析をまとめ、成果発表を行う。 大学・大学院を修了する前のビジネス日本語教育、あるいは異文化間コミュニケーション教育において、自己の日本語能力と異文化間協働能力について内省し、企業での活動をイメージするためのきっかけとなる教材を考案する。
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Causes of Carryover |
今年度、海外進出を予定する中小企業の技術総合職の元留学生に対する調査を予定していたが、対象者が実際にベトナム現地法人の立ち上げを任されて業務多忙となったため、調査が延期され、2015年2月末にようやく調査を行った。そのため、異文化間協働ストラテジーに関する最終的な分析と考察を次年度にかけて行うこととなった。 その際、ベトナムで日系企業に勤める4名の元留学生にグループインタビューや個別インタビュー、上司への聞き取りなど行うことができたので、その調査も最終的な考察に加えることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査結果を分析・考察した成果発表のための旅費、教材作成費として使用する。
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