2014 Fiscal Year Research-status Report
地方自治体による外国人主体の支援モデル「外国人人材育成講座」の試み
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24520584
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
徳永 あかね 神田外語大学, 留学生別科, 准教授 (10360091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 千春 神田外語大学, 留学生別科, 講師 (70438951)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 定住外国人 / 生涯学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 都内区立生涯学習館スタッフの研究協力を得て、昨年度に続いて生涯学習の講座を対象とした研究を実施した。研究協力者として留学生1名に当該講座を受講してもらい、毎回の講座の振り返りアンケートやインタビューなどを行った。これに加え、本講座を受講していた地域定住外国人1名についても研究協力者としてにインタビューに答えてもらった。 2. 上記生涯学習館の講座で採ったデータを分析し、日本語教育学会主催の2014年度実践研究フォーラムで「地域生涯学習支援における外国人人材育成の可能性」という題目のポスター発表を行った。本発表では、受講者による4つのテーマ別グループのうち、「世代間異文化交流グループ」と「国の違いによる異文化交流グループ」の2つのグループに焦点を当てた。その結果、メンバーの世代による違いは相互に尊重しあい、個々のパーソナリティを活かし合う対等な関係性を育んでいたのに対し、メンバーの国の違いでは、外国人受講者を「異なる文化情報収集の対象者」とみなし、個々のパーソナリティへ直接関わりを持つことができず、対等な関係性が育めていない様子が見られた。発表では、地域生涯学習という学びの場で「住民」よりも「外国人」に焦点が当てられてしまう定住外国人が抱える課題について発表の聴衆と意見交換をした。 3. 産休および育児休暇中である研究分担者は、自らが置かれている環境を使って子育て中の外国人母親とのネットワーク作りを行い、外国人母親との交流グループを立ち上げた。来年度以降、このグループのネットワークを使って育児中の外国人母親に焦点をあてた研究を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の「定住外国人」が結果的に定住外国人「女性」に絞られてきている。この点を踏まえ、「定住外国人の人材育成」を女性のライフステージと照らして探っていく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
・25年度からデータを収集して来た都内区立生涯学習館での調査は、研究協力者である当該生涯学習館のスタッフが退職したことに伴い、今後の当該施設でのデータ収集については現在、白紙の状態である。27年度は過去2年間の当該生涯学習館で収集したデータの見直しと、過去に本調査に研究協力者として参加してくれた定住外国人へのフォローアップインタビュー実施する。 ・過去3年間の調査を基に今年度は「定住外国人」を女性に絞って調査を続ける。また、27年度は育児中の外国人母親に焦点をあてた研究を新たに始める。
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Causes of Carryover |
計画当初は海外から専門家を招いたり、研究成果発表のための交通費を計上していた。しかし、都内区立生涯学習館の調査協力を得て調査をすることができたため、本研究費を使って講座の講師を招く必要がなくなった。また、研究発表の会場となった大学も都内であったたため、予定していた交通費がかからなかった。この2つの理由により今年度請求していた研究費に余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、新たに子育てをしている外国人母親を対象とした調査を実施する。グループディスカッションの様子などの文字化を計画しており、「人件費・謝金」の支出が増える見込みである。
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