2012 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生を再考する:多言語アイデンティティを肯定できるコミュニティに向けて
Project/Area Number |
24520586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
藤田ラウンド 幸世 国際基督教大学, 教育研究所, 研究員 (60383535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善元 幸夫 琉球大学, 教育学部, その他 (40587739)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 多言語アイデンティティ / マルティリンガリズム / 言語発達 / 国際理解教育 / 総合学習 / 自尊感情 / バイリンガル教育 |
Research Abstract |
<研究成果> 1)日本、イギリス、韓国での学会発表:藤田ラウンド(2008、2011)の一部、新宿区での多文化共生、第二言語を学ぶJSLの子どもの言語発達について、合計四学会で発表。様々な聴衆にどのように新宿区の多文化共生やJSLバイリンガルを理解してもらえるかを把握し、フィードバックをもらうためである。その成果は今年度の成果である論文に活かした。2)自尊感情を高めるための教育実践記録:共同研究者の善元幸夫が行った、沖縄県宮古市立の小学校で行った「沖縄人はどこからきたか」を映像で記録。長年、JSLバイリンガルの子どもを教えてきた善元の集大成と位置づけられる授業の映像は、研究成果の一つとして、今後の教師教育などへの応用が期待される。現在、映像の編集と文字起こしまで進んだ。3)研究者のための映像技術ワークショップ:2を実現させるための、研究者が映像技術を身につけるための映像ワークショップを4回実施。4)ウェールズとソウル近郊の小学校訪問:イギリスでウェールズ地域の小学校を、また韓国でソウル近郊の小学校二校を訪問し、校長先生や先生方にお話しを伺い、また、映像として小学校の授業や給食の様子を収めた。 <研究の意義> 現在の日本型の多文化共生を問い直し、日本のマルティリンガリズムの現実的な課題を発見し、教育実践という切り口で多文化「共生」の課題に取り組む。グローバリゼーションの一面を、調査と問題解決のアクションリサーチ型の組み合わせで研究する視座は例が少ないので、成果としての研究には意義はあるだろう。 <研究の重要性> 多言語アイデンティティを肯定するために、課題の具体的な解決として授業実践を研究対象に加えた。計画にあったインタビューと補完的に、多文化共生を立体的に捉えることができると考えた。また、映像記録を導入することで、今後の教師教育の素材や教材として使用できる可能性もある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度の研究実施計画通り、①準備調査として新宿区の位置づけを探り、②多文化共生に関わる情報収集のためにドイツ、イギリス、韓国に赴き、イギリス、韓国では発表も行った。しかし、新たに映像という研究手段をとりいれたため、③沖縄県宮古市の小学校に出向き、授業の映像を記録した、④映像ワークショップを開催し、⑤出張先のイギリスと韓国の小学校の映像記録を実施と進行させたものの、慣れない映像の編集に予想以上に時間がとられてやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、本調査となる多言語を使用している多言語アイデンティティにつながるインタビューを行う予定である。それと同時に、昨年度からの授業実践の記録も行い、子どもたちのナラティブと学校や先生方の教育実践から多面的に多文化共生の事象を追求する。インタビューに関しては、不確定要素がまだ多いので、連絡を密にとりながら、インタビューが行えるようにする。本年度は、「キリスト教会」や日系人移住地といったフィールドの「共生」状況も比較材料として目を向ける予定である。新宿区を新宿区の外から、国内を国外から複眼的に見るということになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は900,000円、平成26年度は700,000円の研究費を請求している。外枠としては、平成25年度は本調査として文字お越しや調査のためのインタビューなどの人件費の比重が大きく、加えて、成果の発表のためのウェブサイトに関わる費用が派生する。平成26年度は、成果報告のための冊子、報告書などの印刷費、シンポジウムの全般的な費用がある。
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Research Products
(5 results)