2013 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生を再考する:多言語アイデンティティを肯定できるコミュニティに向けて
Project/Area Number |
24520586
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤田ラウンド 幸世 立教大学, 異文化コミュニケーション研究科, 特任准教授 (60383535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善元 幸夫 琉球大学, 教育学部, その他 (40587739)
|
Keywords | 多文化共生 / 多言語アイデンティティ / マルティリンガリズム / 学校教育 / 自尊感情 / バイリンガル教育 / 多文化教育 / 教育のディスコース |
Research Abstract |
<研究成果> 1.ウェブサイト構築を2013年4月から9月まで準備、10月に公開をした(http://multilingually.jp)。大久保、宮古島、韓国、ブラジル、パラグアイ、リトアニア、エチオピア、中国、アイルランド、ウェールズから「多」文化の情報発信をし、読み手に「多くの異なる文化」ことを意識してもらい、同時にブログの書き手同士が読み合うといった、多文化共生に関わる「交流」が進んでいる。2.昨年度に引き続き、元研究分担者であり、現在は研究協力者である善元幸夫先生の自尊感情を高めるための授業(2013年7月1日)を音声・録画データとして記録をした。3.ソウルにて、新宿区の教育を受けた韓国語日本語バイリンガルの回顧インタビューを実施した。4.2014年2月に宮古島市久松小学校・中学校を訪問し、中学1年生41名と校長へのインタビューを実施した。また背景となる久松集落をフィールド調査し、久松ことばの現状をヒアリングした。 <研究の意義> 本研究では、多文化共生と多言語アイデンティティというキーワードを中心に、日本国内でのグローバリゼーションを映し出す質的研究として、具体的な多文化共生の最先端の「新宿区」と、日本の離島の「宮古島」を比較することでその共通点(少子高齢化、経済の流動による人口のシフト、人口比による言語比)や異なる点(経済力、外からの影響を受ける要因、歴史的背景)を洗い出し、これが多文化共生や多言語に関わるアイデンティティとどのように関わるかを比較検討できる可能性が見えてきた。宮古島での教育実践のデータは、多文化に関わる教師教育だけではなく、消滅危機言語と言われる琉球語の一つの「継承語」への示唆にも富む。 具体的な、バイリンガル(複数言語)と教育に関わるデータを用いた多文化共生を再考する研究となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.計画当時は、3年目の平成26年度に予定をしていたウェブサイトを平成25年に中間報告にも相当する形で構築することができた。本研究では、アクションリサーチという研究方法を志向することから、ウェブサイトを「成果発表」のみでなく、「成果生成」のための道具と位置づけ、1年前倒しで早く構築をし、その途中経過を一般にも公開することとした。 2.昨年度の映像ワークショップを今年度も2回行った。このワークショップで技術を学んだことが、1)ウェブサイトに挙げたウェブサイトのためのインタビュー・プロジェクトとして、また、2)ブログを書く人たちの写真の技術として実っている。 3.今年度は、本研究の課題につながる学術的な分析のための調査フィールドとなる韓国、宮古島、新宿区の3カ所で、インタビューを集中的に行い、現地調査を順調に進めることができた。また、そうしたインタビューなどの音声データを文字起こしまで行い、分析の準備ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目となる平成26年度は、1)平成25年度から行っている新宿区、宮古島、韓国の調査を継続し、2)平成25年度に得たデータの分析を行い、3)新宿区では、「新宿区多文化共生まちづくり会議」の答申に、宮古島市では教職員のための研修などでこれまでの成果を地域に還元し、また、4)ウェブサイト上での「多」文化共生の試みをさらに展開する予定である。 本研究では、本課題のテーマである多文化共生を再考するにあたり、これまで多くの研究協力者の方々に協力をしていただいているので、その方々と協働し、最終報告書、さらには共著で論文を発表することを目指す。同時に、今回の研究課題を遂行する上で、昨年度の推進方策に書いた、新宿区を新宿区の外から、国内を、国外から複眼的に観るということを方法論としても提案できることを目指している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、研究遂行に関わる理由でウェブサイトの構築を1年間前倒ししたため、前倒し支払請求を行った。ウェブサイト構築に関しては前倒し支払請求額を用いたが、それ以外の予算において節減が可能となったため、繰越金が生じることとなった。 平成26年度においては、予算は以下のように計画している。 1) 国内出張費(東京ー宮古島)(東京ー大阪)100,000、2) シンポジウム講演者謝礼(25,000×4人)100,000、動画撮影謝礼(30,000×2日間)60,000、動画編集謝礼(30,000×一人)30,000, ウェブサイト維持のためのアルバイト人件費 100,000、3)最終報告書印刷費(冊子、カラー印刷)600部 165,000
|
Research Products
(6 results)