2014 Fiscal Year Annual Research Report
多文化共生を再考する:多言語アイデンティティを肯定できるコミュニティに向けて
Project/Area Number |
24520586
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤田ラウンド 幸世 立教大学, 異文化コミュニケーション研究科, 特任准教授 (60383535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善元 幸夫 琉球大学, 教育学部, その他 (40587739) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多文化共生 / マルティリンガリズム / バイリンガリズム / 日本国内の言語の多様性 / バイリンガル児とアイデンティティ / 社会言語学 / 言語と教育 / 琉球諸語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「多文化共生を再考する」は、藤田ラウンドが2002年からフィールドとしている新宿区の具体的な多文化共生の状況を鑑みて、理念としての「多文化共生」と、多文化が混在している「現実」との乖離を問い直す作業として始まった。 理念としての「多文化共生」は、一枚岩ではなく、多文化を背景として持つ様々な「個人」の立場、その人を支えている「現場」、また、それぞれの「学問領域」よって独自の文脈の中での解釈がなされている。一つの静的な現象や事実を理論やシステムとして捉えることは難しい。 本研究のテーマである多文化共生を、「多文化」と「共生」と捉えるとすると、この二つの概念のどちらが強調されるのかによっても、「多文化共生」の軸は自ずから異なることとなる。「多文化」の側面が強調される場合は、多文化主義(multiculturalism)とも考えられる「文化」が複数、同等に並列したそのバランスや公正さ (equity)が問われ、「共生」が強調される場合は、生物学の共生(symbiosis)や「共に生きる」という行動 (living together)、また「共に愉しむ」という行為 (conviviality)など、「共生」の主体の行動や行為が範疇に入る。さらに、「多文化共生」の主体を描写するのではなく、客体として外側から眺めるのならば、一つの「多文化共生(co-existence)」という概念化された事象(conceptualization)となり、視点のポジションによってもさまざまな見方が可能となる。 現在、「多文化共生」の概念においては、2014年9月に行った「多文化共生を再考するーーー学際的な視点から」のシンポジウムで発表された講演録を中心に、国際基督教大学教育研究所のモノグラフとしてまとめている過程にある。シンポジウムの講演は、科研研究の報告用のプラットフォームであるウェブサイト上のYouTubeにて閲覧できる。(Live Multilingually http://www.multilingually.jp).
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Research Products
(5 results)