2012 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習アドバイジングの基盤となるデータベースの構築と運用方法の開発
Project/Area Number |
24520587
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 史彦 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (60579168)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学習アドバイジング / データベース / 学習支援 / 日本語学習 |
Research Abstract |
日本語教師や支援者が、日本語学習アドバイジングを効果的に実現するための共用リソースとその運用方法の開発に取り組んでいる。平成24年度は、日本語教師や支援者の学習支援事例に関する意見や情報を収集・分類し、データベース構築の基盤作りに取り組むことが主要な計画であった。研究代表者を中心として、研究協力者と連携しながらA班、B班、C班の3つの研究グループを編成し、各班で研究に着手した。 アドバイジングのデータを収集・分析することを主な任務とするA班では、様々な支援活動に携わる教師・支援者からデータを収集し、紙媒体のアドバイジング事例集にまとめている。同時に、基礎データを分類・整理するための大枠として、学習者オートノミー論の知見を援用し(Murase 2007)、技術的オートノミー、心理的オートノミー、社会・文化的オートノミー、政治・哲学的オートノミーの4カテゴリーを作業仮説的に設定した。これらのカテゴリーについては、今後も引き続き精緻化を図らなければならない。 A班が収集・整理した紙媒体の事例集を手掛かりに、C班はアドバイジングの実践に取り組んでいる。既に、研究代表者の勤務校を中心に、延べ462件の実践を行っている。将来的には、紙媒体の事例集をデータベース化し、インターネットを通じて容易にアクセスできるように整備していく予定である。しかし、アドバイジング実践の現場には必ずしもインターネット環境が整っている訳ではないため、現在のような紙媒体によるデータの提供を今後も望む声が聞かれた。また、インターネットには接続できないもののパソコンは利用できる現場も少なからずあることから、オンラインで利用するデータベースだけではなく、オフラインでも利用できるスタンドアローン型データベースの開発についても検討しなければならない。どのような可能性があるのか、平成25年度も引き続き検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、インターネットを介してアクセスできるデータベースの開発を目指していた。しかし、アドバイジングの実践現場には、オフラインでも利用できるデータベースを望む意見があることが判明した。同様の意見が少なからずあることが確認されため、オンラインによるデータベース・システムの開発を予定していたB班では、現在のところ基幹システムの開発に着手できていない。この点が、平成24年度における研究活動の遅れとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
A班はデータに付与する分類・検索用の指標について分析を重ね、一層の精緻化を図る。合わせて、データベースに収録する情報範囲についても検討し、情報内容を精選する。C班は、引き続きアドバイジング実践を積み重ね、データを蓄積していく。B班は、スタンドアローン型データベースの実現(例えば、DVD-ROMに収録する)が可能かどうか検討する。オンラインとオフラインではデータベース・システムが異なる可能性が高いのだが、どのようなシステムの在り方が現実的なのか早急に結論を出す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オンライン型データベースの開発のみを想定してシステム開発費、システム利用マニュアル作成費、システム用サーバの購入などを計画していたのだが、オフラインで利用できるスタンドアローン型への対応を検討する必要が生じたため、上記研究費の運用を次年度へ繰り越すこととなった。スタンドアローン型の実現可能性について結論が出次第、システムの開発等に着手する予定である。
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