2012 Fiscal Year Research-status Report
ライフヒストリー的アプローチによる熟練教師の「熟練性」及びその形成過程の研究
Project/Area Number |
24520590
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
康 鳳麗 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (30399034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 健夫 三重大学, 教育学部, 教授 (20174469)
坂本 勝信 浜松大学, 経営情報学部, 准教授 (40387501)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ライフヒストリー的アプローチ / 日本語教師 / 「熟練性」 / 授業スタイル / 日本語教師の力量形成 / 質的研究 / 半構造化インタビュー / トライアンギュレーション |
Research Abstract |
本研究「ライフヒストリー的アプローチによる熟練教師の「熟練性」及びその形成過程の研究」では、熟練日本語教師の「熟練性」とその形成過程に注目し、日本語教師の力量形成に必要不可欠な実践経験内容を、ライフヒストリー的アプローチによって明らかにする事例研究を積み重ねてきた。 2006年から7年間にわたって (1)三重県内A日本語学校1名 (2)岐阜県内R日本語学校1名 (3)秋田県内K大学1名 (4)静岡県内T大学1名 (5)中国天津の大学2校9名(中国人母語話者) (6)中国西安の大学3校6名(中国人母語話者) (7)台湾の日本人日本語教師2校2名、延べ21名の日本語教師の事例研究を行なった。(7)は本年度(平成24年度)新たに加えた事例である。研究方法としては、現在の授業実践の参加観察及び実践者への半構造化インタビューに加えて、学習者のノートや感想等を収集し、信頼性を高めるためのトライアンギュレーションを意識的に追求してきた。 本年度は、①質的研究方法としての参加観察やインタビュー研究等の意義を、先行の研究の到達点と課題を踏まえて確認し、その問題点の解明・克服について考究を重ねた。②中国人日本語教師4名(西安)、日本国内で教える日本人日本語教師3名、及び、海外で教える日本人日本語教師2名の授業実践を参加観察し、個々の教師の「授業スタイル」の特徴を描き出すことを行った。 研究成果を ①日本語教育学会研究集会(2012年6月於金城学院大学)にて報告した(タイトル:「ライフヒストリーアプローチによる日本語教師の力量形成研究の意義と課題―個別事例研究から熟練教師の熟練性の研究へ―」)、②三重大学教育学部研究紀要に掲載された(タイトル:「熟練日本語教師の力量内容とその形成ーライフヒストリー的アプローチによる日中の日本語教師の授業スタイルの形成研究ー」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事例研究として中国人日本語教師4名(西安)、日本国内で教える日本人日本語教師3名、という数年間の関わりを活かした事例研究、及び、事例の多様性を最大にするために本年度に新たに加えた海外で教える日本人日本語教師2名の事例研究を行うことができた。これまでの信頼関係の構築が基盤になっている。こうした授業実践への参加観察が実践者への取材のもとになって日本語教師の力量形成に関する先行研究はほとんど存在しない。 その授業記録及びインタビューデータから読み取れる、日本語教育の環境も違えば経歴も異なる教師たちがどのように自らの教師としての授業スタイルを確立してきたか、を明らかにすることができた。とりわけ、中国人日本語教師の力量形成においては、制度的な歴史や社会文化的背景の中で、個々の日本語教師のライフヒストリーへの理解やそれぞれの教師の時代的な課題や「悩み」の諸相を明らかにすることができた。それは、80年代に日本語教師になったいわゆる熟練教師の経験的な知恵(専門性)と若い教師に求められる高学歴化とのギャップが困難な問題を生起させることであり、その際、日本語教師に求められる専門性とは何か、改めて問われていることである。こうした事例研究を行うことができたことは研究の目的にとって極めて重要なステップとなったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目(H25年度)においては、まず、1年目に得られた結果を基にして、事例研究を丹念に行い、そのことをモノグラフとして学会で報告し、論文として上梓する。次に、引き続き事例研究を進めフィールドワークを実施する。前年度のデータも含めて事例研究を行う。 3年目(H26年度)の研究は、長いスパンでの考察を行うために継続的にデータ収集の蓄積に努める。と同時に、これまでの研究で得た仮説的な結論を踏まえながら、教師の授業実践経験のどのような要素、要因が熟練日本語教師の授業スタイル形成の契機を与えるのか、その際、時代的背景がどのように影響しているのか、分析を行う。そのことによって、研究仮説をより確かなものにする。さらに熟練日本語教師の「熟練性」及びその形成過程について、得られた結果をとりまとめ、日本語教育学会、中部教育学会及び本研究の最終報告書にて成果発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画としては、インタビューデータの収集、及び、研究成果を学会等で報告するための旅費、謝金、賃金(データ起こし)等にあたる。
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[Book] アルク2012
Author(s)
坂本勝信
Total Pages
191
Publisher
日本語能力試験レベルアップトレーニング文法N1
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[Book] アルク2012
Author(s)
坂本勝信
Total Pages
191
Publisher
日本語能力試験レベルアップトレーニング文法N2
-
[Book] アルク2012
Author(s)
坂本勝信,吉原こずえ
Total Pages
177
Publisher
日本語能力試験レベルアップトレーニング聴解N1
-
[Book] アルク2012
Author(s)
坂本勝信,吉原こずえ
Total Pages
155
Publisher
日本語能力試験レベルアップトレーニング聴解N2