2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24520594
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 雅代 関西学院大学, 国際学部, 教授 (40230586)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 受容バイリンガル / 英語-日本語 / 言語使用 / 言語発達 / 受容能力 / 優勢言語 / 劣勢言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に採録したデータの分析から、特筆すべき点として次の2点が明らかとなった: (1) 母親の日本語使用が減少し、かつ、それが常態になる兆しがみえる。 (2) (1) と入れ替わるかのように、母親の英語使用(英語のみでの使用ないしは日本語とのコードスイッチングという形態での使用)が増加し、それが常態になる兆しがみえる。 女児の2つの言語については、本研究の開始時点ですでに、言語間における使用の量や能力に明らかに違いが認められていたが、研究開始後もその差は縮まることはなく、常に英語が優勢、日本語が劣勢という立場を保持しながら推移し、とりわけ就学段階から、元々産出が限定的であった日本語の使用がさらに減じ、研究開始から8年を経た現在にあっては、受容については(文脈からの手がかりに依拠しながらではあっても)、日常的な親子の会話レベルではかなりの能力を保持・伸張しているものと判断されるものの、産出についてはほとんど聞かれなくなっている。そうした状況に呼応してか、女児にとって最も身近かつ唯一の日本語の入力源である母親にあっても、その英語の使用(日本語に代えて英語を使用する、あるいは日本語とのコードスイッチングという形態で使用する)が増えている。このことは、同時に、母親の日本語の使用が相対的に減じていることをも意味しており、女児のみならず、母親にあっても、言語の使用上の変化が生じていることがわかる(そのことは、χ2検定での残差分析において、平成27年度に採取した言語使用データにあっては、母娘間の英語使用が有意に多い、同日本語使用が有意に少ないという結果となって表出している)。
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