2012 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者の言語発達指標の構築:主題表現の諸特性の習得難易度を手がかりに
Project/Area Number |
24520595
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
吉田 智佳 天理大学, 国際学部, 講師 (00388886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白畑 知彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (50206299)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 第二言語習得 |
Research Abstract |
我々の研究の最終目的は、「日本語学習者の言語発達段階を測る具体的指標を構築すること」である。しかし、この目標は大きく、時間もかかる。今回はその一歩として、主題を表す係助詞(または、副助詞)「は」の習得を研究題材に絞り、第二言語発達の指標の構築を試みたい。第二言語(または外国語)としての日本語習得研究において、「は」の習得は、「が」との対比の下、数多くの研究が行われてきた。しかし、学習者の「は」の習得を、「言語発達を測る指標」と捉えた上での研究はほとんどなかった。本研究では、従来の研究で欠けている部分を補う。つまり、母語の異なる初・中・上・超級レベルの日本語学習者を対象に、その発話と文法性判断テストから得られた資料を統語・意味・語用(談話)的観点から分析する。その結果をもとにして、学習者の言語(文法)発達の指標を構築する。 本研究の独創的な点は以下の2点である。(1)異なる母語話者の日本語の主題表現の習得を調査することで、その背後にある習得のメカニズムを明らかにしようとする点と、(2)同一言語母語話者で初級・中級・上級・超級レベルの学習者を対象に調査することで、文法の、統語・意味・語用(談話)のうち、どの領域に関わる規則が困難なのかを検証し、そこから導かれる結果を日本語教育に応用しようとする点である。 日本語学習者の言語発達指標が構築できれば、教師は各学習者の習熟度を簡単なテストで把握できるようになるだけでなく、成果を日本語教育における効果的な教授法や学習方法にも応用できようになる。このような意味において、本研究は実際に授業を行う日本語教師にとって有益である。さらに、教材開発、教材配列、評価などの面でも日本語教育の教育現場にも貢献できると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中国語(1名)、英語(2名)、韓国語(1名)をそれぞれ母語とする超級レベルの日本語学習者にはそれぞれデータ収集にご協力いただき、うち2名(英語・韓国語母語話者、各1名)には、半年あるいは1年間に亘るデータ収集にご協力いただいた。これらのデータ分析は終了している。ここまでは比較的スムーズに進んだ。しかし、当該研究では被験者の(i)日本語を学習してきた学習環境、(ii)日本での滞在期間、(iii)日本語の習熟度レベルにおいてもある程度統一する必要がある。しかし、そのような被験者を一定数募集することが予想以上に困難な状況にある。したがって、現段階ではやや予定よりも遅れている状況である。しかし、その間、すでに収集させていただいたデータを分析する過程で、主題構文の「主題」の本質が何であるのかを改めて考える機会が得られた。今後はさらに言語学的知見を深めると同時に、新たなデータ収集にご協力いただける方々を探す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでデータ収集はできるだけ研究代表者と研究分担者の勤務する地域にて行ってきた。なぜなら、データ収集と同時に、その前後に打ち合わせもできるため、効率的な予算運用ができるからであった。しかし、その一方で、データ収集の地域を限定してしまうと、本研究に求められる被験者には出会えない可能性も高い。したがって、今年度はさらにデータ収集の場を広げる予定である。 また、分析ツールとなる言語学、言語理論については、幸い、2013年度4月から9月まで英国ケンブリッジ大学にて研究をさせていただく機会を得られているため、比較言語学、および言語理論を勉強するには恵まれた環境にある。こうした環境を生かし、広い視点から言語学、言語理論を学び、それをデータ分析に活かす予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研修の推進方策の点でも述べた通り、研究代表者と研究分担者の勤務する地域でのデータ収集には限界がある。したがって、次年度はデータ収集の範囲を広げて、本研究に必要な被験者を探す予定である。また、被験者には謝金をお渡しし、音声データを文字化する作業をしていただく方にも謝金をお渡しする予定である。 さらに、次年度までに得られた研究成果を日本だけではなく、海外の学会(たとえば、EuroSLAやICPLJなど)にも応募したいと考えている。したがって、謝金と旅費の支出の割合が高くなる予定である。
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Research Products
(2 results)