2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本語学習者の言語発達指標の構築:主題表現の諸特性の習得難易度を手がかりに
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24520595
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
吉田 智佳 天理大学, 国際学部, 准教授 (00388886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白畑 知彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (50206299)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は日本語学習者の言語発達段階を測る具体的指標を構築することである。しかし、この目標は大きく時間もかかるため、今回は第1段階として主題を表す係助詞(あるいは副助詞)「は」の習得に絞り、第二言語発達の指標の構築を目指した。 まず助詞全体の習得調査から着手した。それは系助詞「は」の習得だけが難しいのか、それとも他の助詞も同様に習得が難しいのかが分からないからである。先行研究では助詞全体の習得調査を行ったものはほとんどない。したがってこの基礎研究から着手した。最初に20歳を過ぎて来日し、日本の大学に入学、そして卒業し、日本で就職した滞日歴10年を超える30代中国人日本語学習者を対象に調査した。インタビュー時の発話の中で「は」以外の助詞はほぼ完璧に使いこなしたが、「は」の正用率だけが80%台であり、その原因は「は」の過剰使用にあった。この現象は中国語母語話者に特有のものなのか、それとも他の言語の母語話者にも同じ傾向が見られるのかを調査すべく、日本語の熟達度の高い韓国語母語話者と英語母語話者を対象に調査した。その結果、韓国語母語話者と英語母語話者は中国語母語話者の場合と同様に「は」の過剰使用・過少使用が見受けられた。特に「は」と「が」の区別が難しいこと(中国語母語話者の場合にはその傾向は見られなかった)が判明した。「は」と「が」については、従属節内(名詞節や連体修飾節)内で「は」が使えないという統語レベルでの規則や、「は」の使用のように談話レベルにも及ぶ規則など、統語と談話といった複数領域に関わるような用法の習得が困難なのではないかということが予測される結果であったが、さらに調査が必要であると思われる。この調査の難しさは学習開始年齢を20歳すぎに設定したとはいえ、それぞれの学習者の学習背景や学習時間を統一することが難しいところにあった。
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Research Products
(1 results)