2015 Fiscal Year Annual Research Report
英語科教員養成段階にある学生の認知に関する質的研究:信条形成要因の分析
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24520604
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
滝沢 雄一 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (00332049)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 英語教育 / 教員養成 / 言語教師認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二言語教師教育研究における教師認知研究の動向を踏まえ、主に(1)英語科教員養成段階にある学生による授業計画の作成は、どのような信条に基づいて行われるのか、(2)その信条の形成に影響を与える過去の学習者としての経験、教育実習、講義経験はどのようなものか、(3)講義や教育実習を通じてその信条がどのように変容するかを、質的研究方法により明らかにすることを目的とする。 27年度においては、上記の目的に沿って24、25年度に収集したデータのより詳細な分析・検討を、前年度の分析を踏まえ継続して行ったことに加えて、24, 25年度に対象とした学生のうち3名が26年度末に台湾で行った教育実習について収集したデータの分析・検討が主な実績である。 台湾の教育実習については、主として観察およびインタビューにより収集されたデータを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)により分析を行った。その結果、(1) 指導計画作成時には、台湾人学生との意見の衝突が頻繁に見られ、その中で妥協したり、前向きに相手の考えを受容したりしているが、妥協した場合、必ずしも納得しているわけではなく、自分のビリーフを維持している、(2) 台湾で行う授業であるという文脈が、授業を計画する際に制約として働いている側面がある、(3) 台湾の授業の特徴を、日本での自分の指導法に当てはめて、考えをめぐらす、(4) メンターからの助言により、自分の考え方を明確化したり、自分にない考え方に触れ、それを受容・応用したり、自分たちなりに検討し、判断をし、納得したものを応用したりしている、(5) 日本の講義で得た知識をメンターの助言により確認・強化している、(6) 自己について、欠けている部分を再認識していることなどが明らかとなった。これらの結果を第41回全国英語教育学会熊本研究大会にて発表した。
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