2012 Fiscal Year Research-status Report
複合的多読授業の研究:フィンランド式教育法に基づくアクティビティの開発
Project/Area Number |
24520607
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
草薙 優加 群馬大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50350335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 めぐみ 成蹊大学, 経済学部, 准教授 (50339587)
深谷 素子 慶應義塾大学, 法学部, その他 (40468616)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多読 / 読書 / リーディング / 自律性 / フィンランド式教育法 / 教養 |
Research Abstract |
本研究課題では、昨今、指摘されている日本の大学生英語学力低下、学習意欲低下に対する問題解決の一方法として多読を採用する。多読は学習者の英語力に見合ったレベルの英語の本を楽しみながら大量に読むことで、英語学習への積極的態度を育むと同時に、通常の授業テキストだけでは得ることのできない大量インプットによる英語力向上が期待される。従来の多読教育では、教師が介入せず学習者自身が選んだ本を一定時間読むことに重きが置かれてきた。しかし、本研究メンバーによる過去の教育実践からは、この方法だけで学習者が英語読書に対する興味を保持あるいは増大させ、読書量や英語力を向上することは困難であり、学習者の自律性を育み、停滞しがちな多読を活性化する教育活動が求められた。そこで、本研究では読解力とともに自律性をも育成するとされるフィンランド式教育法に着目し、フィンランド式の教育方法と多読関連の指導と活動を複合的に組み合わせて、多読を促進する教育方法の確立を目指す。 平成24年度は、4年間に亘る研究期間中の基礎調査の年とし、前半は(1)フィンランド視察(フィンランド式教育方法の実態把握と検証のため、8月にフィンランド、トゥルク市ルオスタリヴォリ中学・高校を訪問し、英語リーディングの授業観察(4教員、9授業)、生徒へのアンケート調査、教員と保護者への面談調査を実施した)、(2)フィンランドや諸外国で広く授業やワークショップで使用されている活動(マッピング、ファシリテーション・グラフィックス、ワールド・カフェ等)の知識と指導方法の獲得、(3)従来の多読指導法の検討を行った。(1)~(3)の基礎調査に基づき、(4)平成25年度実施予定の多読実験授業計画作成(研究計画の再検討、授業案、教材、資料等の作成)、(5)フィンランド視察報告記執筆準備(アンケート結果の集計、フィールドノートの整理等、現在執筆中)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したとおり、ほぼ本研究課題の交付申請書に示した計画どおりに進行している。ただし、フィンランド視察報告記に関しては、平成24年度中に執筆し終え、学会誌または研究分担者所属機関の紀要に投稿する予定であったが未達成である。現在、この報告記は執筆中であり、数か月中に学会誌に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に実施したフィンランドの英語教育視察報告記を執筆し出版する。また、平成24年度に作成した授業案を基にした多読教授を研究代表者と分担者が所属する各大学で1年間実験授業を行い量的および質的研究データを収集する。研究分担者と定期的に経過報告と打合わせを行い、実験授業の実施とデータ収集を行う。収集した数量データは、研究効率を高めるためデータ入力業者に発注し、随時分析のためのデータ整理を進め、次年度に予定されている統計分析の準備とする。分析が順調に進んだ場合には、中間経過報告を学会で報告したい。また、データ収集と分析準備に合わせて、学会や研究会における最新の多読研究、自律学習研究等の知識、情報の収集を行い、次年度の研究に備える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の交付申請書に記したとおり、(1)研究代表者と研究分担者が収集する実験授業データ(量的データ、質的データ)整理を効率的に行うため、データ入力業者への発注費用、資料整理のアルバイト等の人件費、(2)関連書籍と文献の購入費、(3)研究分担者との打ち合わせに要する旅費、(4)外部講師・知識提供者への謝金、(5)学会参加のための旅費を用途として計画している。
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Research Products
(2 results)