2012 Fiscal Year Research-status Report
機関リポジトリを活用した大学別発信型語彙リストのオーダメイド作成法
Project/Area Number |
24520625
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
徳見 道夫 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (90099755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学部, 准教授 (00308701)
田中 省作 立命館大学, 文学部, 教授 (00325549)
冨浦 洋一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (10217523)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英語教育 / 情報図書館学 / 機関リポジトリ / ESP/EAP |
Research Abstract |
本課題の初年度である平成24年度は,6月と12月の2度の打ち合わせと研究実施計画に従って,次のような実績を上げた. 1. 機関リポジトリの構造分析とデータ利用の準備:本研究で必要不可欠で最も重要な視点である機関リポジトリについて,研究従事者らの所属組織の機関リポジトリを中心に,関係部署との折衝の上,その構造分析と利用できるデータの目処をつけた.九州大学・静岡大学・立命館大学のそれらであるが,いずれの大学の機関リポジトリも,現時点の蓄積状況では不十分であることが明らかとなり(最も蓄積状況が良好と考えられる九州大学でも2012年7月時点で,英語著作物は5838点),別途,それらを補完する手続きの必要性が指摘された. 2. 重要語彙・表現リストの基本設計:本研究でターゲットとするような,機関別の重要語彙・表現リストの基本的な議論を2度の打ち合わせで行い,あわせてその抽出のための特に量的指標について基本的なレビューを行った.抽出指標については,主に頻度あるいはそれから派生する確率ベースの従来法を,まずは試行することを確認した.また,こういったリストの活用時に,どのような情報を併せて学習者に提示すべきか,といった,最終的な活用法に関する議論も行った. 3. 重要表現リストの部分的な試作:蓄積状況が比較的良好な九州大学の機関リポジトリ内の英語著作物データを活用し,研究従事者に親密性が高い情報系学部・研究科を対象とした重要表現リストを部分的に試作した.なお,作成プログラムについては研究従事者(田中)が別課題で推進している不連続な連語項目抽出に利用するものを応用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「平成24年度の研究実施計画」で掲げたもののうち,一部未実施の項目があったり,次年度の項目を先取りしたものがあったりするものの,概ね期待通り研究が進展した. 未実施の項目としては,機関リポジトリのデータをたとえばWeb経由で収集するようなAPI・プログラム等の作成・実施で,未着手である.現在の機関リポジトリはそういった使用法を想定して設計されているものがほとんどであり,既にそのような目的のAPI等は公開されていたが,本年度は「研究実績の概要」でも述べたように研究従事者らの所属機関を対象に,まずは直接データを関係部署と折衝し,入手し,内容分析等を先行した.また,機関リポジトリ内のデータの基礎資料という視点からの調査については,もともと次年度にまたがる課題である.今年度は既に他機関・従来研究でなされ公開されているような情報を参照するにとどまった. 先行した項目としては,重要語・表現選定のための手続きの開発,語彙・表現リストの部分的な試作である.特に2語以上で構成されるような重要表現の選定について,研究従事者の他の研究課題とも同期し,先行したかたちで実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
申請書および初年度の交付申請時にあげた研究実施計画のなかで前後した項目はあるものの,計画上はそれらを入れ替えた形で推進することで,次年度期待される進捗状況に達するものと考えている.初年度の研究推進から見えてきた,次年度以降,特に重点的に進めるべき事柄には以下のようなものである. 1. 機関リポジトリの補完:機関リポジトリへの論文等の登録状況は,必ずしも高くなく,活用できる論文等を充足しなければ,本研究で指向するような機関別の重要語彙・表現リストの作成は難しいことは明らかである.機関リポジトリとは別に,研究者らの研究情報データベースと論文等を公開しているデータベースを活用することで,機関リポジトリの補完に相当するような手続きを検討し,それを半自動的に実現するようなプログラム等を準備する必要がある. 2. 機関リポジトリ内のデータからの文献参照情報の収集:本課題は発信型の語彙・表現リストを指向する,という視点から,当該機関の発信成果である機関リポジトリ内の論文等にまずは焦点をあてているわけであるが,たとえば低年次の大学生にとっては,関係分野の基本文献等を読み解くためのような語彙・表現リストも英語教育上重要である.そのような意味では,機関リポジトリ内の論文等に含まれる文献参照情報を活用し,当該機関の研究者らが発信したもの以外にも電子的に入手できるものについては,今回のようなリスト作成に活用することで,基本的・受動的な語彙・表現リストの整備が期待される.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,前項目で記したように,対象機関の研究者らの研究情報データベースと外部の論文等のデータベースと連携し,機関リポジトリを補完することを検討しているが,これを担当する情報班(冨浦洋一・田中省作・宮崎佳典)全員が来年度に限っては,なかなか自身でコーディングする余裕がない.冨浦は専攻長,田中は副学部長で校務に割くエフォートが高まり,宮崎は前期間在外研究で米国に滞在し,物理的に本課題と連携することが難しくなる事情があるからである.そこで,この課題のコーディング部分については,研究分担者の田中と研究協力者の小林が所属する立命館大学を窓口に外注することを検討しており,そのための予算を検討する.
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