2012 Fiscal Year Research-status Report
非ネイティブ間のインタラクション―参加者の文化に注目して―
Project/Area Number |
24520634
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
江口 真理子 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (00269523)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 第二言語修得 / 意味交渉 / インタラクション / ビデオ会議 / 異文化 / 内容分析 |
Research Abstract |
インタラクション理論に関連する先行研究のレビューを行った。多くのインタラクション研究は、ネイティブと非ネイティブの一対一のインタビュー形式を調査対象としており、「理解可能なインプット」や「理解可能なアウトプット」を求める意味交渉が行われているという報告があった。非ネイティブの2人組の会話を調査対象とするものもあり、非ネイティブ同士の方が多くの意味交渉が行われたという報告があった。これらの先行研究から、文化の違いが意味交渉に関係しているかを考察した研究がないとわかった。 日本人同士のインタラクションを、日本人と外国人のインタラクションと比較するために、その基盤となるビデオ会議システムを整えた。ポリコムHDX7000を設置し、既存のポリコムと合わせて、日本人同士のインタラクション、および、日本人と外国人のインタラクションを録画できるような設備を整えた。 その設備を用いて、日本人同士のインタラクションと、日本人とメキシコ人、日本人とアメリカ人のインタラクションを実施し、録画した。日本人同士のインタラクションと日本人とメキシコ人のインタラクションについては、家族について話し合う場面であった。日本人同士のインタラクションと日本人とアメリカ人のインタラクションについては、浦島太郎の物語について話し合う場面であった。 録画した映像をDVDプレーヤーからパソコンに入力し、フォーマットを変更した後、それをテープ起こしして、テクストの内容分析が行えるようにした。日本人同士のインタラクションと日本人とメキシコ人のインタラクションを試験的に比較してみたところ、日本人同士のインタラクションよりも日本人とメキシコ人のインタラクションのほうが、「発話の数」と「質問」において、活発な意味交渉が行われていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は先行研究のレビュー、ビデオ会議設備の整備、少ないサンプルを用いた予備的調査を予定しており、計画のすべてを実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の予備調査の結果をまとめて学会発表を行い、論文を提出する。 24年度の予備調査の結果は限られた被験者に基づいたものだったので、25年度は、より多くの被験者からインタラクションのデータを収集する。ディスカッションのテーマ、外国人の種類を変えてデータを収集し、インタラクションにおける発話の量や意味交渉の量が文化の差に起因するものかどうかを検討する予定である。また、24年度に行ったテクストの内容分析は、「発話の回数」と「質問」という変数にのみ注目した意味交渉を観察したが、25年度は「ワード数」「母語使用」「明確化要求」「言い直し」等の他の変数も加えて、より詳しく意味交渉を観察する。 25年の12月には海外の研究協力者を招聘し、研究会を実施し、様々な角度からインタラクションを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めながら研究費を執行したため、当初の見込額と執行額にずれが生じた。しかし、研究計画に変更はなく、前年度の研究費を含めて、当初の予定通りに研究を進めて行く。
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Research Products
(4 results)