2014 Fiscal Year Research-status Report
社会構成主義教育理論を応用したオンラインドリルの協働的学習法の効果の研究
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24520640
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
工藤 雅之 北海道科学大学, 高等教育支援センター, 准教授 (10321374)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | e-ラーニング / オンライン協働学習 / ストレス要因 / 第二言語学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国の高等教育機関で広く取り沙汰されている学力低下問題などを欧米で進行する非伝統的な学習者の問題と共通問題として捉え、欧米では社会構成主義的な手法を以って問題解決に至っていることから、学習者中心主義の根幹である協働学習を導入し、この問題の解決を試みるものである。 前年度までの実績として、特にオンライン協働学習環境においては、学習者の生産的なパフォーマンスや協働のメリットを活かすのに重要な要因である学習時のストレスを引き起こすストレッサーに対して、いくつかの要素が交絡して影響をおよぼすことがわかった。課題に対する自己効力などの心的要因が、この交絡の主因であることは昨年度までの基礎研究から実証的に確認できた。従って協働的な教授方略は、課題の自己効力を基準にすることにより、課題履行におけるストレス軽減に有効であることが仮説できる。 基礎研究から示唆されているストレス軽減型教授方略として、タスクに対する自己効力が低い場合にはメタ認知を促進するヒントを与える、サンプルを先渡しするなどの認知資源や課題のデザインを可変する特別な教授方略が提案されている。特に認知心理学の知見であるワークトエグザンプルは、学習者の学習行動に直接働きかけ、学習者の認知負担を軽減することが知られているのでストレス軽減に有効であると仮定できる。これは、課題遂行上で必要な認知負荷が抑えられると、ストレス軽減が期待できるという基礎研究の結果がサポートしている。 今後は、ストレス軽減型教授方略をオンサイトのドリル群をサポートするように構築し、ドリル学習をサポートするストレス軽減型教授方略の効果をオンサイトで実証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
非常に遅れている。 昨年度の報告から、深く進んだ事項は非常に少ない。本研究が非常に遅れている最大の理由は、学内の人事異動に伴い、想定外の仕事量が舞い込み、研究に割く時間が非常に圧迫されたことである。しかしながら、基礎研究は以下のように進んでいることから、実証実験を早急に行いたい。 昨年度までの研究進捗から見た達成事項は、以下の通りである。1.オンライン協働には、ストレスの問題がある。2.与えられた課題に関わる自己効力とストレスには相関関係がある。3.ストレスを軽減するためには、自己効力と課題デザインの交互作用を考慮する必要がある。4.ストレスを軽減する課題デザインとして、ワークトエグザンプルがある。5.認知的に高次な処理を促すヒントになるような質問(プロンプト)は、認知負担を減らし、ひいてはストレス軽減に繋がる。以上が、基礎研究を通して明らかになった事柄である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度末の延長願いにも記載したが、昨年度から組織改革があり、新しい教科の担当となり、想定の研究時間を確保することができなかった。一年の猶予をいただいたので、昨年度実行予定だった実証レベルでの実践を行い、研究結果を発表できるよう努力する。昨年度、計画した研究内容は以下の通りである。 自己効力の低い学習者に対する教授方略として、ワークトエグザンプルを用いた協働や協働そのものが有効であることが判ってきたことから、実践研究を行う高等専門学校で活用し、ドリル学習に協働作業やワークトエグザンプルを活用し、ストレスを軽減できるかどうかを実証的に検証する。すでに研究協力者とは連絡がとれており、今後早急にソフト的協働環境を構築し、実証実験に移りたい。
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Causes of Carryover |
今年度の人事異動により、新たな講義を任されることになり、仕事の作業負担が著しく増し、当初研究に充当できる予定時間を遥かに越える職務負担になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度同様、本研究は未だに開発段階にあることから、早急に協働学習環境を開発し、実証実験ができるよう体制を整える。開発にあたり、順次開発費用や機器購入などに使用したい。
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