2012 Fiscal Year Research-status Report
第二言語習得におけるストレス要因:測定法と成功へのかかわり
Project/Area Number |
24520647
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
富山 真知子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (10237133)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / ストレス / コーチゾル値 / 情意要因 / 言語不安 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第二言語習得(外国語習得を含む)における学習者のストレスが、その習得の成果にいかにかかわるかを検証することにある。具体的には以下の2点を主目的とする。①今まで第二言語習得分野では使用されることのなかったストレスの測定法として、人間の生理的反応の側面からコーチゾル値を用い、それが第二言語習得研究においても有益かつ有効な手段であることを示す。②実際にコーチゾル値測定による実験を行い、学習者のストレスと第二言語習得の成果との関係を検証する。 平成24年度は3年間にわたる研究期間の初期準備段階と位置づけられ、文献研究と、実験研究の中核をなす本実験の準備として予備実験を行った。文献研究においては、生理的指標である毛髪中のコーチゾル値の信頼性や妥当性が、病理学、心理学等の分野において、検証され、確認されていることが明らかになった。また、ストレスを自己申告によって測定するPerceived Stress Scale (PSS)が広く使用されており、PSS とコーチゾル値には必ずしも相関があるわけではないことも明らかになった。 本年度の実験は予備実験として行われたが、申請時に予定していた20名を上回る52名の参加者を得て、本学の秋学期(9月 -12月)に外国語/第二言語科目履修者を対象として行われた。本研究では、ストレスの操作上定義をコーチゾル値とし、第二言語習得の成果の操作上定義を科目成績としている。 得られたデータに基づき、コーチゾル値と成績の相関、PSS とコーチゾルの相関、PSS と、言語不安の質問紙であるForeign Language Classroom Anxiety Scale (FLCAS)との相関、その他母語、目標言語、性別、年齢等による詳細分析を実施中である。予備実験により、手続きや行程の変更、要因の追加等の必要性も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時においては、コーチゾル値測定を委託したドイツ、ドレスデンの検査機関から、2週間で結果が得られるということだったが、実際には結果取得まで2ヶ月半かかった。そのため、コーチゾル値にかかわる結果を検証することができず、本年度内に暫定的成果を発表するには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本実験を行う予定である。予備実験により明らかになった修正点を踏まえ、参加者の規模を拡張して1年間にわたり実験を実施する。毛髪採取後、随時検査機関に送り、コーチゾル値の結果が得られ次第分析を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実際の毛髪検査費が、申請時に予定していた額より大幅に上回ったので、平成25年度の予算の多くは毛髪検査費として使用される予定である。その他、実験実施の補助者、データの統計処理に従事する補助者への謝金が主な支出となる予定である。なお毛髪検査後の謝礼品渡しの遅延および予定していた逐次刊行物の刊行遅延などにより次年度使用が生じているが、後者については上記毛髪検査費に充当する予定である。
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