2013 Fiscal Year Research-status Report
年少者及び成人学習者を対象としたプラグマティックス指導とその効果
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24520657
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石原 紀子 法政大学, 経営学部, 准教授 (90523126)
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Keywords | 国際情報交換 / プラグマティックス指導 / 教員養成 / 教師教育 / 小学校の英語教育 / ストーリー・テリング / 語用論的指導 |
Research Abstract |
平成25年度の当初の研究計画の一つは、年少学習者にプラグマティックス指導が有効であるか検証するため、ストーリー・テリングとディスカッションを用いて英語のプラグマティックスを指導したデータや考察を論文にまとめ、国際査読ジャーナルに投稿することであった。この計画は予定通り進み、国際査読ジャーナル(TESOL Canada Journal 及びIranian Journal of Language Testing)に2本の論文を発表するに至った。またこれに関連し、昨年度方向転換をして小学校で行われている英語教育をプラグマティックス的な観点から分析し始めたが、その考察を日本語学教育学会(JALT)全国大会で発表した。 当初の研究計画ではまた、法政大学の教養英語の科目の中で、主にストーリー・テリングとディスカッションを取り入れた語用論指導を取り入れ、データ収集することであった。実際には、大学生である学習者にはディスカッションの経験や技能が乏しく、殊に英語のみで行う授業では、ストーリー・テリングとディスカッションを有効に用いるのが難しいことが分かってきた。そこで指導法に修正を加え、米国ゲティスバーグ大学の高宮優実博士の協力を得て、米国での日本語教育と、法政大学での英語教育の授業をブログの媒体を通して連携させ、プラグマティックス指導を行うという手法に切り替えた。それを題材にした論文は、テクノロジーを利用した語用論的指導・研究に関する書籍の一章として本年度出版され、またアメリカ応用言語学会でその結果を報告した。 更に、プラグマティックス指導は日本では殊に認知度が低いので、当初の計画通り、プラグマティックスの重要性や実践例・理論的背景を日本語でわかりやすく解説した教員対象のプラグマティックス指導に関する実践書を執筆も始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように多少の方向転換はあったものの、初等教育や大学の英語教育にプラグマティックス指導を導入するという全般的な方向性には変更がなく、プラグマティックス指導を日本語でわかりやすく解説した教員対象の実践書の執筆も進んでいるため、ほぼ計画通りに進んでいると言えるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、プラグマティックス指導を日本語でわかりやすく解説した教員対象の実践書の出版(26年3月出版予定)に向け、現在は第一草稿であるが、改訂・編集作業を今後計画通りに進める。 第二に、語用論指導を取り入れた教師教育の研究も進め、小学校教員の養成について考える。外国での教員養成制度等も視野に入れ参考にしつつ、我が国での教員養成に対する示唆を考察し、教員の学びについて考える。具体的には、海外のEFL (English as a Foreign Language) の一例として、イタリアでオンラインで行われている初等教育のための英語教員養成講座が参考になり、2011年より小学校で外国語指導が義務付けられた日本の英語教育へのヒントがあると考えられるため、そのプログラムの研究を進める予定である。 そしてプラグマティックス指導の重要性や指導法などに関する認知度を、国内外で上げていく出版・講演活動は今後とも続けて行く方針である。(例えば、外交官の英語教育・平和教育に取り入れられる語用論指導についてなど、現在本の一章となる原稿を執筆中である。)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教員対象のプラグマティックス指導書を日本語で執筆し始めているが、その経費を25年度中には支出しなかったため。 25年度中には支出しなかった経費は、現在執筆中の教員対象の指導書を26年度中に出版する際に使用する予定。
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[Book] Technology in interlanguage pragmatics research and teaching2013
Author(s)
Naoko Taguchi, Julie M. Sykes, Noriko Ishihara, Yumi Takamiya, Shuai Li, D, Adrienne Gonzales, Alfredo Urzua, Christopher Holden, Carsten Roever, Helen Zhao, David Kaufer, Andrew D. Cohen
Total Pages
276 (185-214)
Publisher
John Benjamins
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[Book] Assessing second language pragmatics2013
Author(s)
Steven Ross, Gabriele Kasper, Carsten Roever, John Rylander, Phillip Clark, Richard Derrah, Soo Jung Youn, James Dea Brown, Noriko Ishihara, Kirby Grabowski, F. Scott Walters, Paul Seedhouse, Waka Tominaga, Yusuke Okada, Tim Greer Stephen P. O'Connell, Remi A. van Compernolle
Total Pages
366 (124-148)
Publisher
Palgrave Macmillan
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