2012 Fiscal Year Research-status Report
データベースソフトを活用した初習外国語授業における教材提示の円滑化と授業の活性化
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24520675
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
神谷 健一 大阪工業大学, 知的財産学部, 講師 (50388352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿原 武史 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10454927)
三浦 由香利 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 非常勤講師 (10621550)
堂浦 律子 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (40623864)
川口 陽子 神戸大学, 大学教育推進機構, 非常勤講師 (50623170)
井上 昭彦 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (60623866)
黒田 恵梨子 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70623859)
田原 憲和 立命館大学, 法学部, 准教授 (80464593)
金 善美 大手前大学, 現代社会学部, 非常勤講師 (90621847)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 外国語教育 / 教育工学 / データベース / 教授学習支援システム / 授業改善 |
Research Abstract |
本研究は英語、ロシア語、韓国語、ドイツ語、イタリア語、フランス語、スペイン語を担当する計12名の教員による言語横断型プロジェクトであり、普通教室で実現可能なICT活用型教育のあり方を検討し、同時に教育活動の改善および新規性の高い教育方法の導入を図ることを目的としながら、教員の教材作成の付加を軽減するとともに、学習者の学習効率を向上させる挑戦的な取り組みを行うものである。 平成24年度は前年度までに発表されている本プロジェクト関係者による英語およびロシア語の実践事例をドイツ語、スペイン語、ガリシア語、フランス語、イタリア語の5言語の教育場面に応用するため、研究代表者は「動詞変化形提示ツール」を開発した。ヨーロッパ言語とは語形変化体系が異なる韓国語においても「ハングル学習用ツール」「動詞変化形提示ツール」を開発した。同時進行で研究分担者および研究協力者はこれらを利用するために必要な教材データの整備を行い、授業実践を繰り返しながらツール利用状況の記述や問題点の洗い出しを行い、言語によってはツール機能の追加も随時行った。これに加えロシア語チームでは「フラッシュ型 例文・対訳提示ツール」「4肢選択式短文穴埋め問題データベースと問題作成ソフト」「Phrase Reading Worksheet作成ツール」の実践利用も開始した。 全ての言語チームの授業実践に伴い、学習者を対象としたアンケートも実施し、この結果および教育工学的な観点からのツール評価に関する中間報告を学会・研究会・ワークショップ等において、英語以外の全ての言語チームで行った。このような発表の機会は今後、プロジェクト関係者以外への利用者を拡大するための機会としても有効であった。 加えて研究代表者は平成25年度以降のプロジェクトで重点的に取り上げるモバイルデバイスを利用した文字・単語・例文学習のためのツールの試作品も開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は研究代表者・研究分担者・研究協力者(計12名)が7つのチームに分かれて活動しており、各チームとも精力的かつ活発な研究活動が行われた。 研究代表者(開発担当)は他の6チームが利用する教材提示ツールの試作版の提供および各言語の教育場面に適用する改良作業の目処を平成24年度末を目標としていたが、平成24年度上半期にはこれらの作業が完了した。また、研究分担者および研究協力者によって構成される6チームは、平成24~25年度のいずれかの時点で、準備が整ったチームから中間発表を行う計画となっていたが、全てのチームが平成24年度中に中間発表を行うことができたため、当初の計画よりも半年程度の前倒しで進展できている。 また、本研究課題の応募時には想定できていなかったが、本研究課題の採択が決定し平成24年度の交付申請を行う頃に明らかになった、同一開発環境でのモバイルデバイス対応ソリューション開発可能性は本研究課題にとって朗報であり、当初想定していた教員利用型のツールに加え、学習者自身が利用するモバイル学習環境に視野を広げていく研究が可能になった。 こうした中、ドイツ語チームの3名に本研究課題の研究代表者および新規の研究分担者を加え、モバイルデバイスを利用したプロジェクト型授業に焦点を当てた別の研究プロジェクトを平成25年度から新たに開始することとなった。この研究課題は本研究課題とも重複する部分もあるが、本研究課題の開始時には想定していなかった観点からの研究であり、国内外の授業実践事例の視察なども行っていく予定となっている。また、この研究課題で得られた知見は本研究課題の他の4チームにも応用していくことが可能であると考えられるため、相乗効果によって両方の研究課題がますます進展できることについて大いに期待しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年7月に本研究課題の進捗状況をスコットランドで開催されるWorldCALLにて発表する機会を得ることができたので、海外の研究者とも本研究課題に関する意見交換を行い、またこの機会にヨーロッパでの外国語教育で利用される教材提示ツールやモバイルデバイスの利用状況などについても資料収集を行う予定である。 これまで本研究課題で開発してきた教材提示ツール等については各言語チームからいくつかの改善提案などが寄せられており、開発を担当する研究代表者はこれらの要望に基づいた改良作業を随時行っていく計画である。また、ロシア語チームで先行実施している動詞変化形提示ツール以外のツールの実践利用を他の5言語のチームでも少しずつ進めていき、中間報告の内容なども速やかに論文にまとめていく作業を行っていく計画である。併せて、各言語チームから別の観点からの授業改善ツール等の開発要望などもとりまとめ、モバイルデバイスに対応したツールも視野に入れながら新規開発も行っていく予定である。 研究分担者・研究協力者は特に初習段階の外国語授業で共通して利用できる語形変化や語彙・構文・例文など、フリーで公開できる範囲での基盤的な教材データベースの作成など、ツールおよびデータベースの一般公開に向けての作業も進めていく。また、必要に応じてデータベース収録内容のネイティブチェックや内容精査も、各チーム内で実施していくものとする。 こうしたツール開発は授業担当者のアイデア次第で様々な拡張が可能だが、本研究課題の残り期間である平成25年度・26年度に、どこまでのツール開発が可能かの見極めも早い段階で行う。また、本研究課題期間終了後の展望や研究プロジェクト自体の継続可能性などについても検討を進めていき、可能であれば上記のドイツ語チームのように、他言語チームも同時並行で別のプロジェクトを立ち上げていくよう検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度からの繰越額について、中間発表の実施を想定していた時期が前倒しになったため、平成24年1月に前倒し支払請求書を提出したが、この請求が10万円単位だったため、研究費に若干の余剰金が発生したためである。 平成25年度の研究費の使用計画について、研究代表者は海外旅費および備品としてのモバイルデバイスの複数台調達を予定している。また、研究分担者はパソコン等の備品購入や、国内学会への旅費への充当、ネイティブチェックのための謝金として研究費を使用していく計画である。
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