2012 Fiscal Year Research-status Report
多読授業に使われるEPERテストの等化と統語能力に対する多読の効果
Project/Area Number |
24520678
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉澤 清美 関西大学, 外国語学部, 教授 (80210665)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | L2 reading / 多読 / test equating |
Research Abstract |
英語多読授業では、Edinburgh Project on Extensive Reading(EPER)テストを実施し、その結果に基づいて学習者のプレイスメントや学習の伸びを測定する。EPERテストには複数のフォームがあるが、フォームAとEが最もよく使われる。これらは教育現場では同等フォームとして扱われているが、同等フォームであるかどうかを検証した実証研究がない。本研究の第一の目的は、EPERテストのフォームAとEが同等フォームであるかどうかを検証し、両フォームを等化することである。等化のデザインはCommon-item nonequivalent groups design(Kolen & Brennan, 2004)の考え方に基づいた。 EPERテストのフォームAとEの等化を行うために、以下①~④を実施し、現在⑤のデータ分析を行っている。①EPERテストのフォームAとEのコンテント分析を行った。②EPERテストのフォームAとEの難易度などがほぼ同等な外部共通項目を作成し、それらを組みいれた等化用フォームAとEを作成した。 ③等化用フォーム実施要領を作成し、それに従い、各多読クラスで多読授業を実施する前の段階で、等化用フォームAあるいはフォームEを4年制大学4校の大学生537名に実施した。④受験者の解答を採点し、データ入力を完了。⑤ラッシュモデル(Rasch Model)、2パラメーター項目応答理論を用い、データ分析し、外部共通項目の結果をもとにフォームAとEを等化させる作業を行っている。万一、データがラッシュモデルや2パラメーター項目応答理論を適用する前提条件を満たさない場合、Kolen & Brennan (2004)の同等パーセンタイル方法を使い、フォームAとEを等化させる。⑥ ⑤の結果にもとづき、フォームEからフォームAへのコンコーダンスを作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はEdinburgh Project on Extensive Reading(EPER)テストのフォームAとフォームEのコンテント分析を行い、両フォームに使われている項目と同等の難易度をもつ外部共通項目35(全体の項目数の20%)を作成し、各フォームに組み込み入れ、等化用フォームA(176項目)とフォームE(181項目)を作成した。Common-item nonequivalent groups design(Kolen & Brennan, 2004)の考え方に基づき、二つのテストフォームを等化するためのデータ収集を行った。等化用フォームAは176項目、等化用フォームEは181項目あり、537名分の解答の採点時間が当初の予定より長く必要となった。現在、収集したデータの分析を行っている。平成24年度の研究目的は最終段階に達しており、平成25年9月に開催されるイギリス応用言語学会(British Association of Applied Linguistics)での研究発表に向けてデータ分析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Edinburgh Project on Extensive Reading(EPER)テストのフォームAとフォームEを等化するために作成した外部共通項目を含む等化用フォームにより収集したデータの分析を終え、フォームEからフォームAへのコンコーダンスを作成する。 平成25年度は多読を継続することにより統語力はどのような時系列的変化を見せるのか、質的なアプローチをとり、検証する。丸橋(2011)は多読を通して、英語学習者は文法項目を付随的に学習するのか、更に、あらゆる文法事項を学習するのかを検証した。その結果、学習者は文法項目を付随的に学習するが、特に外国語能力の低い学習者に顕著な効果が見られた。また、多読はすべての文法項目に効果があったわけではなかった。本研究では一年間の多読をとおして、英語学習者はどのような統語的発達を見せるのかを質的に分析する。 上記研究目的を実施するために、次を実施する。①日本人大学生を対象とし、研究に協力してもらう多読実践クラスの募集を行い、学習者総数200名ほどを確保する。多読授業の展開の仕方については、研究協力者の高瀬敦子氏が事前指導を行う。②多読授業開始前、春学期終了直前、秋学期終了直前の3回にわたって、EPERテスト、EPERリーデイングテスト(レベルEとD)、リーデイング速度テストを実施し、採点する。③EPERテストの項目の中で、主に統語的能力を使って正答に至る項目を選択し、誤答パターンが一年間でどのように変化するかを質的に分析する。④また、多読開始時には統語的能力が低い学習者グループと高い学習者グループでの伸びの違いについても分析する。更に、各グループから5名程度の学習者を選び、一年間の伸びの違いについて、発話プロトコル分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品(文具)、国内旅費(採点他の作業のための科研会議出席の旅費、大学英語教育学会2013年年次大会成果発表の旅費)、国外旅費(第2回Extensive Reading World Congress(韓国)、 イギリス応用言語学学会での成果発表の旅費)、人件費・謝金(採点補助、実験補助、論文校閲)、その他(データ入力委託、会議費、郵券代)
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Research Products
(3 results)