2014 Fiscal Year Annual Research Report
多読授業に使われるEPERテストの等化と統語能力に対する多読の効果
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24520678
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
吉澤 清美 関西大学, 外国語学部, 教授 (80210665)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | L2リーデイング / 多読 / 統語的能力 / SENTENCE GRAMMAR / DISCOURSE GRAMMAR / インプット |
Outline of Annual Research Achievements |
研究協力者として高瀨敦子氏、大槻きょう子氏に参加していただいた。平成26年度は,英語による多読は学習者の統語的能力の発達にどのように寄与するのか、更に、統語的能力の発達は各学習者の多読開始時の英語力、英語で読むことに対する態度などの学習者要因、一年間の読書量などの読みに影響する要因とどのように関係するのかを検証した。学習者の統語的能力測定のために、新たにGrammar Checkテストを開発した。 日本人大学生を対象とし、多読実践クラス278名(実験群)、通常のリーディングクラス172名(統制群)の参加者を得た。参加者には以下のデータ収集にご協力いただいた。(1)Grammar Checkテスト、(2)EPERプレイスメント・プログレステスト、(3)EPER Reading テスト、(4)「英語学習アンケート」。また、多読クラスの学習者は各多読本を読了後、読了日、タイトル、語数、読みやすさのレベル、内容に関するコメントを『多読記録手帳』に記録した。多読授業終了後、各多読学習者の読み方を精査した。 データ分析から、多読クラスの学習者は独立した文法問題(sentence grammar)の伸びに比較して、話の中に出てくる文法(discourse grammar)の伸びが大きかった。 多読が学習者の統語的能力に及ぼす効果に関しては先行研究が極めて少なく、日本人学習者を対象に行った研究はMaruhashi(2011)のみである。本研究の意義は、学習者の統語的能力の時系列的変化を質的に分析することにより、英語学習者が付随的に学ぶ事項とそうではない事項を区別することができ、後者を明示的に授業に取り込むことにより、学習者の言語獲得に貢献するものと考えられる。また、統語能力発達に必要な読書量を明確にすることにより、効果的な指導や学習目標の設定がより具体化し、自律した学習者の育成に繋がる。
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Research Products
(4 results)