2014 Fiscal Year Research-status Report
ライティングセンターにおけるチューターの成長支援に関する実態調査
Project/Area Number |
24520679
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤岡 真由美 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (40351572)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ライティングセンター / 英語ライティング / チューター教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の大学における英語ライティング個別指導を目的とするライティングセンターでのチューターの成長支援に関する実態調査として、平成26年度は以下の活動を行った。特定の大学(国立大学1校)のライティングセンターでチューターをしている大学院生5人にインタビューをし、また英語ライティング個別指導の様子を観察した。この大学1校に絞った理由は以下のとおりである。(1)本研究における最初の2年間(平成24、25年度)において複数の大学のライティングセンターでのアンケート調査およびインタビューなどの実態調査を行ったが、大学によりライティングセンターでの教育目的、実施方法も異なるため、詳細な研究を行うために1校に絞るべきと考えた。(2)また、平成25年度の研究実施において本研究のデータ分析に有効な理論として「活動理論」(Activity Theory, Engestrom, 1999, 2001)(以下 AT と略す)を使うことにし、ATでは特定の教育活動が行われているコミュニティーとその構成員を重視するため、1校のライティングセンターに焦点をあてるべきと判断した。(3)さらに、この大学が部外者からの研究要請に対して特に協力的であることも理由である。 実施したインタビューを平成24年度から25年度にかけて蓄積したこの大学からのデータ(ライティングセンター責任者、複数のチューターへのインタビュー、広報紙など)とともに予備分析した。その結果、ATが強調している活動システムとしてのライティングセンターの実態が明らかになった。しかしながら、チューター間のライティング指導に対する考えや成長過程の違いはATをさらに深く掘り下げて分析しなければならないことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的であるライティングセンターチューターの成長過程とその支援に関する実態について、ほぼ順調にデータの蓄積と分析に必要な理論の理解が進んでいる。研究方法については、複数校から一校に絞る、個別指導の様子をビデオ撮影、音声録音をしない、などの変更が生じた。それは指導を受ける対象となる学部生の撮影、録音許可が研究協力校から得られないなど研究が進んで行く上での必要な修正であった。ビデオ撮影、個別指導音声録音の代わりに、当初から計画していた代替手段である見学時のノート記録、およびチューターへのインタビューでも十分に分析に必要なデータを取ることができることがわかった。結論として、全体的には本研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度が本研究の最終年度であり、以下の計画をしている。焦点をあてている特定大学のライティングセンターでの、ライティングセンター運営責任者とチューターをしている院生へのインタビュー、および個別指導の見学を実施する。この大学からのデータは平成24年度からの蓄積があるが、27年度にさらなるデータを追加することにより過去4年間のライティングセンターでの教育についての変化を明らかにすることができる。また、過去にインタビューをしたチューターの何名かに再度インタビューおよび見学を実施することにより、チューター自身のライティング指導に対する考えや指導方法の変化を見ることができる。こうした追加のデータ収集結果を理論に照らし合わせて分析し、本研究を完結させる予定である。
|