2013 Fiscal Year Research-status Report
イベントスキーマを基盤とした教育的意味タグセットの実証的研究
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24520682
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
能登原 祥之 同志社大学, 文学部, 准教授 (70300613)
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Keywords | イベントスキーマ / 文型 / 典型性 / BNC / Spoken Corpus / FrameNet |
Research Abstract |
2013年度では、イベントスキーマを基盤とした教育的意味タグセットを精選する研究を話し言葉の場合に絞り行った。特に、 (1) 認知文法論で典型的とされるイベントスキーマと文型の「典型性」を話し言葉コーパスの場合で検証していくこと、(2) 教育的に最低限指導すべき典型的な構文を精選し意味タグセットの形にすること、(3) 3年目に教育的意味タグの教育効果を検証するための教科書コーパスを構築すること、の3つの課題に取り組んだ。 まず、課題 (1)では、Radden and Dirven (2007) の典型的なイベントスキーマと文型を対とする11種類の構文に注目した。その上で、(a) 話し言葉において各スキーマの代表的な動詞はどの程度高頻度の動詞か(頻度の検証)、(b) 各イベントスキーマはどの程度拡張性のあるスキーマか(拡張性の検証)、の2つの視点から、British National CorpusのSpoken Component とFrameNet を通して検証を行った。その結果、Radden and Dirven (2007) に2種類を加え13種類の構文と動詞 (States/ SVC (be)、Processes/SVC (become)、Location/SV (be)、etc.) が典型的(頻度が高く他の構文に拡張性の高いもの)でそれぞれ構文と動詞の結び付きも強いことが分かった (第39回全国英語教育学会口頭発表、『中国地区英語教育学会研究紀要』44号)。 課題 (2)では、上記13構文を教育的意味タグセットとして整理し、最後に、課題 (3) では、中学校の英語教科書(2012年度版)を基に構文頻度効果を検証するコーパスの構築および整備を行い3年目の研究の準備とした。また、本研究を基に教育実践例や例文選定法も整理した(赤野・堀・投野2014; 馬本2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に、文献研究を通して調査方針を微調整したことで無理のない形で調査を進めることができた。ただし、動的用法基盤モデルに基づき話し言葉に焦点を絞ったことで、話し言葉特有の問題が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、以下2つの課題に取り組むことにしている。(1) 中学校の英語教科書(2012年度版)に見られる構文頻度効果を本研究の教育的意味タグを通して検証すること、(2) 特に高頻度構文の頻度効果に注目し、学習者の中間言語内に潜む概念融合や概念軋轢を考察すること。上記の応用研究をふまえ、教育的意味タグの教育研究上の意義とその問題点を指摘し、本研究を終えることとする。
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Research Products
(4 results)