2012 Fiscal Year Research-status Report
リスニングにおけるエラー認識能力の特徴とその発達過程に関する実証的研究
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24520686
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
川島 浩勝 長崎外国語大学, 外国語学部, 教授 (60259736)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リスニング / エラー認識 / 発達過程 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、1) 日本人英語学習者のリスニングにおける音声/文法/意味上のエラー認識能力の特徴を記述・解明し、構造化・可視化することによって、その全体像を明らかにし、2) それを基に、一般的な教室環境で使用可能な音声ベースのエラー認識タスク教材を開発する際重要になってくる事項を明らかにすることである。平成24年度は、目的1) における音声と文法上のエラー認識能力に焦点を絞って、エラー認識能力の特徴解明のための基礎的研究を行った。 音声上のエラー認識研究に関しては、英語の類似音(母音と子音のミニマルペアー)の識別・理解を重要な分析観点と位置づけ、1) 母音と子音のミニマルペアーの識別における回数効果、2) 母音と子音のミニマルペアーの識別能力の発達、3) 母音と子音のミニマルペアーの識別・理解におけるエラーの諸相、について調査を行った。その結果、単語レベルで見た場合、子音のミニマルペアー識別において回数効果(識別のチャンスが2回ある時、パフォーマンスの向上が見られる)があることや、また、ディスコースレベルで見た場合、ミニマルペアーに関するエラー認識率について、母音・子音間での差異は認められなかったが、子音のミニマルペアーに関するエラー認識力が総合的リスニング力により深く関係していること等が明らかにされている。 文法上のエラー認識研究に関しては、名詞句と動詞句の語順の理解度を重要な分析観点として位置づけ、エラー認識能力に関する調査を行った。その結果、ディスコースレベルで見た場合、語順に関するエラー認識率について、動詞句・名詞句間での差異は認められなかったが、動詞句に関するエラー認識力が総合的リスニング力により深く関係していることなどが明らかにされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リスニングにおける音声/文法/意味上のエラーを認識する能力を測定するための信頼性の高いテストを開発するのに予想外に時間を要し、調査実施の時期が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の達成度は「やや遅れている」になっているが、交付申請書に記載したスケジュールに修正を加えながら, 下記の具体的課題を遂行する。 1)リスニングにおける意味上のエラー認識能力の記述・特徴化 2)リスニングにおける音声/文法/意味上のエラー認識能力間に内在する関係の把握 3)音声エラー認識能力とディクテーション能力に見られる関係の把握
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進度がやや遅れ、予定していた学会発表ができなかったため、平成24年度の研究費を次年度に繰り越して使用する。平成25年度に必要な研究経費の大半は旅費/人件費・謝金に関わるものであるが、学会発表を予定していたより1回増やし、旅費に繰り越し金を使用する予定である。
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