2013 Fiscal Year Research-status Report
リスニングにおけるエラー認識能力の特徴とその発達過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
24520686
|
Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
川島 浩勝 長崎外国語大学, 外国語学部, 教授 (60259736)
|
Keywords | リスニング / エラー認識 / 音声 / 文法 / 意味 / 発達過程 |
Research Abstract |
本研究の主要目的の一つに日本人英語学習者のリスニングにおける音声/文法/意味上のエラー認識能力の特徴の記述・解明があるが、平成25年度は、前年度行ったディスコースレベルでの調査研究の枠組みをベースにしながら、文レベルにおけるエラー認識能力に関する特徴解明を試みた。音声上のエラー認識に関しては英文中で母音と子音のミニマルペアーが適切に使われているかを認識する能力(例えば、Taro is my vest friend.という英文を聴くと違和感を感じる能力)、文法上のエラー認識に関しては英文中の名詞句と動詞句における語順の正しさを理解する能力(例えば、Hanako her teacher met at the store.という英文を聴くと違和感を感じる能力)、意味上のエラー認識に関しては、英文中の動詞が含意する意味情報と後続の語句との整合性(動詞がもつ意味と副詞的用法の不定詞句が表す意味の間の整合性/動詞がもつ意味と場所を表す前置詞句・副詞句などの間の整合性)の正しさを理解する能力(例えば、Kenta hurried to the bus stop to miss his bus.という英文を聴くと違和感を感じる能力)を重要な分析観点として位置づけ、音声/文法/意味上のエラー認識能力と総合的リスニング能力およびディクテーション能力との間に見られる関係を調べた。 調査の結果、全体的には、1)音声/文法/意味上のエラー認識能力と総合的リスニング能力およびディクテーション能力との間には統計的に有意な関係が認められ、2)総合的リスニング能力およびディクテーション能力に対する音声/文法/意味上の個々のエラー認識能力の説明率は高くないが(最高でも20%ほど)、3つのエラー認識能力を組み合わせ、さらに、それぞれの認識能力の交互作用を説明変数に加えると、説明率が約2倍の40%程度に上昇する、ことなどが明らかにされている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リスニングにおける音声/文法/意味上のエラーを認識する能力を測定するためのテストの信頼性を向上させるために項目数を増やしたため、時間的制約によりデータ収集に支障がでたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の達成度は「やや遅れている」となっているが、音声エラー認識に関する学習者の自己評価のデータなどを最大限に活用しながら、下記の具体的課題を遂行する。 1)音声エラー認識能力の発達過程に関する記述・理解 2)音声エラー認識能力に関する質的分析 3)音声エラー認識教材作成上の指針作成
|