2014 Fiscal Year Annual Research Report
リスニングにおけるエラー認識能力の特徴とその発達過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
24520686
|
Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
川島 浩勝 長崎外国語大学, 外国語学部, 教授 (60259736)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | リスニング / エラー認識 / 音声 / 文法 / 意味 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に、音声/文法/意味上の音声エラー認識能力と総合的リスニングテストの間の関係を解明するための調査を行った。この調査は学習者の自己評価に基づくもので、音声/文法/意味上の音声エラー認識能力と総合的リスニング能力の間には統計的に有意な正の相関があることが明らかにされているが、両者間の関係をより精密に調べるために、本年度は、自己評価と実際のパフォーマンスに基づく調査を実施した。
本研究では、音声/文法/意味上の音声エラー認識能力は文レベル(埋め込まれた間違いを含む短い英文を聴き、その間違いを認識できるか)で測定され、また、総合的リスニング能力は標準化された英語リスニングテストにより測定されている。なお、音声/文法/意味上の音声エラー認識能力に関しては、次のように規定されている。1)音声上のエラー認識:英文中で母音と子音のミニマルペアーが適切に使われているかを認識する能力 2)文法上のエラー認識:英文中の名詞句と動詞句における語順の正しさを理解する能力 3)意味上のエラー認識:英文中の動詞が含意する意味情報と後続の語句との整合性
調査の結果、音声/文法/意味上の音声エラー認識能力と総合的リスニング能力は正の相関の関係にあることが再確認された。特に、1)母音と子音のミニマルペアーに関するエラー認識能力、2)動詞句に関するエラー認識能力、3)動詞がもつ意味と副詞的用法の不定詞句が表す意味の間の整合性に関するエラー認識能力、を説明変数とすると、総合的リスニング能力の42.1%を説明でき、さらに、これらの変数の相互作用を説明変数として位置づけたとき、その説明率が72.6%に増加し、音声/文法/意味上の音声エラー認識能力と総合的リスニング能力の間には極めて複雑な関係があることなどが明らかにされている。
|