2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国語教育への社会的要請に応えるコミュニケーション能力育成のための日中対照研究
Project/Area Number |
24520688
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Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
楊 虹 鹿児島県立短期大学, 文学科, 准教授 (20571607)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 意見表明 / 談話研究 / モダリティ / 中日対照 / 話し合い |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,意思決定の場面での日、中の意見表明発話の対照分析を通してそれぞれの特徴を明らかにしたうえで、接触場面における日本語母語話者のコミュニケーションの特徴及び問題点を解明することを目的として、3年間にわたり、日中間の話し合いや会話場面における相互行為の分析を行ってきた。 初年度は会話における「同意要求―応答」の連鎖の分析を行い、共感構築的に会話を進める日本語母語話者とは異なる中国語母語話者の情報交換的側面の一端を浮き彫りにした。次年度は、中国語の意見表明発話全体を分析し、特に話者の認識を示す知覚動詞「覚得」「感覚」の機能および話し合いのプロセスにおける両者の使い分けを考察し、論文にまとめた。情報交換的側面の強い中国語会話においても、相手に配慮した意見表明の側面も明らかになった。 そして最終年度は,前年度に収集した中国語を媒介語とした日中接触場面のデータも追加してさらに分析および考察の深化と精緻化を図り、その成果を,学会発表2回,論文2本発表しました。研究のテーマは二つある。一つは話し合いにおける不同意を示す意見表明の発話にみられるモダリティの日中比較であり、もう一つは、日中の感嘆表現の類型論的観点からの比較である。分析の結果、中国語母語場面では、話し合いの参加者が互いの意見に命題のみで断定的に不同意を示す発話が多くみられ、日本語母語場面との違いが明らかになった。中国語母語話者の日本語母語話者との異なるコミュニケーションスタイルの影響のほか、日本語と異なる中国語の言語類型的特徴の影響も浮かび上がった。教育の現場において学習者の母語の影響を多角的に検討することの必要性が示唆された。 このように本研究は、日中両場面の相互行為の分析を通し言語を超えたコミュニケーションの普遍性および言語文化によるコミュニケーションのスタイルの相違点の解明に努め、一定の成果がえられた。
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