2012 Fiscal Year Research-status Report
効果的教材開発を目指した多様な英語の理解度に関する研究
Project/Area Number |
24520698
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
松浦 浩子 福島大学, 経済経営学類, 教授 (70199751)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際語としての英語 / 理解度 / 言語態度 |
Research Abstract |
日本人英語の国際的理解度を阻害する要因を音声学的見地から分析した。具体的には、複数の日本人大学生が音読した音声データを、母語を異にする4つの大学生被験者グループ(英語を母語とするアメリカ人、英語を公用語とするフィリピン人、英語を外国語として学ぶ韓国人、英語を外国語として学び音声提供者と同じ母語を持つ日本人、各グループ約50名)に聞かせ、ネイティブ・スピーカーの規範的発音とは異なる逸脱箇所(wrong word substitution, lack of sentence stress, shifted word stress, problems with vowels, and problems with consonants)を中心にディクテーションさせたところ、ディクテーション得点に差はあるものの、理解度を損ねる音声学的ポイントについてグループ間に共通性があることがわかった。国際語共通語としての英語教育を目指す教育現場や教材作成過程において、注目すべき結果であると考えられる。 また、一般的日本人英語学習者になじみのない訛りを持つ英語(インド、スリランカ、ガーナなどの英語)を大学生被験者に聞いてもらい、被験者の母語における方言や訛り使用状況が、なじみのない訛りの英語評価にどう影響するのかを調査した。さらに、被験者の英語発音に対する自己評価が、訛りのある英語評価にどう影響するのかについても調査した。結果から、日本語の訛りや方言に対する見方・考え方が、さらには自身の英語発音に対する評価がL2の音声評価に影響を与えていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国際コミュニケーションの場における日本人英語の理解度を阻害する要因の解析を目標の1つに掲げている。24年度は音声学的見地から日本人英語を分析した結果を論文にまとめ、公刊した。目標に照らして一定の成果を上げることができたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本人大学生を対象として多様な英語の理解度を調査し、変種間の相対的理解度に基づく英語カテゴリーを構築する。具体的方法は次の通り。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの英語ネイティブ・スピーカー(Inner Circle English speakers)、及びアジアやアフリカ地域において公用語として英語を使用するノンネイティブ・スピーカー(Outer Circle English speakers)から音声サンプルを集め、日本人英語学習者に呈示する。音声の理解度をディクテーションにより、意味・内容の理解度をアンケートにより調査し、相対的理解度を調べる。その結果を図式化して変種カテゴリーを作成する。なお、サンプルは、標準的な英語で書かれたスクリプトをそれぞれのアクセントで読んでもらうものと、自己紹介や同じ変種話者間の対話など、事前の準備なしに自由に話してもらうものの2種類を予定している。 また、日本人英語の国際的理解度を阻害する要因を形態論、及び語用論的見地から分析する研究にも着手する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多様な英語の音声収録のため、研究代表者が多民族・多言語国家であるオーストラリアへ渡航する(海外渡航旅費)。モナッシュ大学(メルボルン市)教員の協力のもと、留学生を含む現地学生協力者約20名に音声を提供してもらう(謝金)。音声収録機材としてICレコーダーを購入する(物品購入)。この音声収録の準備として、海外研究協力者であるモナッシュ大学教員を福島大学に招聘し(海外渡航旅費)、モナッシュ大学倫理委員会に提出する書類を共同で作成するほか、調査方法やアンケート用紙作成について打ち合わせを行う。また、収録した音声英語を使用して、日本人学習者を対象とする相対的理解度に関する調査を研究代表者の勤務する大学、及び国内研究協力者の大学にて実施する(国内旅費)。学生被験者に対する謝礼として文房具を購入する(物品購入)。データ入力のため学生アルバイトを雇用する(謝金)。 研究成果の一部をアメリカ、ポートランド市で開催されるAAAL2014、及びTESOL2014の両学会にて発表予定(海外渡旅費)。これら2つの学会参加費を研究費より支出する。
|